AIを中心とするプロセス・オートメーション・プラットフォームのDeepSee.aiが24.7億円のシリーズA調達

米国時間3月15日、企業がAIを利用して基幹業務の課題を自動化することを支援するスタートアップ企業のDeepSee.ai(ディープシーAI)が、ForgePoint Capitalの主導する2260万ドル(約24億7000万円)のシリーズAラウンドを実施したことを発表した。今回のラウンドには、前回の投資家であるAllegisCyber CapitalとSignal Peak Venturesも参加していて、ソルトレイクシティを拠点とするDeepSee.aiのこれまでの資金調達総額は3070万ドル(約33億5000万円)に達した。

同社は、これまでとは異なるプロセスオートメーションを、企業に対して提供するのだという。最近の業界のバズワードといえば「ロボティック・プロセス・オートメーション」(RPA)だが、DeepSee.aiはその内容が異なると主張している。私はそのシステムを「ナレッジ・プロセス・オートメーション」(KPA)と形容している。同社自身はこれを「非構造化データを採掘し、AIを活用した知見を運用し、結果を企業のリアルタイムアクションへと自動適用する」システムだと定義している。そして同社はまた、現在世の中で提供されているようなロボットは基本的なタスクの自動化に重点を置いており、高度な機械学習モデルがもたらせるような深い洞察は提供できていないと主張している。また同社は、このシステムがナレッジワーカーの置き換えを目指すものではなく、企業が収集する膨大なデータを実用的な洞察に返還する手助けをAIを活用して行うことを目指すのだと強調している。

画像クレジット:DeepSee.ai

DeepSee.aiのCEOであるSteve Shillingford(スティーブ・シリングフォード)氏は「経営者のみなさまは、科学的なプロジェクトではなく、ビジネス上の成果が必要なのだとおっしゃいます」と書いている。「そして現在、大企業の中でのAIを中心にした展開の多くで、急増している不満は、それらが理論的にはすばらしいものでありながら、本番ではほとんど失敗するということなのです。私たちはその理由を、現在の『AIアプローチ』には全体的なビジネスコンテキストへの関連性が欠けているからだと考えています。思慮に欠け、硬直していて、現場の専門家の文脈に沿った意見も取り入れられていません。私たちは、強力なテクノロジーと基幹業務の間のギャップを、適用可能なソリューションでつなぐために、DeepSeeを創業致しました。そのソリューションをお使いいただくことで、お客さにAIを活用した自動プロセスを運用していただくことが可能になります。すなわちより速く、より良く、そしてより安価な結果がもたらされるのです」。

DeepSee.aiは、顧客企業がそのプラットフォームを使い始めることができるように、3つのコアツールを提供している。まず、構造化されていないデータを取り込み、ラベリング、モデルレビュー、そして分析の準備を行うDeepSee Assembler(ディープシー・アセンブラー)がある。その後、DeepSee Atlas(ディープシー・アトラス)がこのデータを使用して、企業のビジネスプロセスを理解できるAIモデルを訓練する。そして対象業務の専門家が、企業の内部プロセスを自動化するためのテンプレート、ルール、ロジックを定義する手助けを行う。そして、それらとは並行して、企業がビジネスプロセスをよりよく理解し評価することができるように、3つ目のツールであるDeepSee Advisor(ディープシー・アドバイザー)がテキスト分析に焦点を当てる。

現在、同社はこれらのツールを保険会社、公共事業関係、資本市場に提供することに重点を置いている。たとえば保険分野では不正行為の検知、保険請求の予測と処理、大量の非構造化データを利用して代理店監査のためのパターンを特定するといったユースケースがある。

これは1つのスタートアップとしては比較的限られた数の業界だが、同社は今回の資金調達で製品開発を加速させ、新たな業界にも進出していくと語る。

ForgePoint CapitalのマネージングディレクターであるSean Cunningham(ショーン・カニンガム)氏は「KPAを使うことで、基幹業務の責任者の皆さまは、データサイエンスと企業の成果を結びつけ、AI / ML(人工知能 / 機械学習)を活用した自動化を大規模に運用し、予測的な洞察をリアルタイムに利用して収益の拡大、コストの削減、リスクの軽減を図ることができるのです」と語る。「ForgePointは、一流のサイバーセキュリティ投資家として、インサイダーの脅威、データの可視化、コンプライアンスといった、セキュリティに関わる日々の課題を認識しています。今回のDeepSeeへの投資は、ビジネスオートメーションのリスクを低減させる能力を加速させ、お客さまたちが実装に必要となさるAIの透明性を実現します」。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:DeepSee.aiRPA資金調達

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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