AIを取り込むSalesforceの野望

circa 1931:  German-born physicist Albert Einstein (1879 - 1955)  standing beside a blackboard with chalk-marked mathematical calculations written across it.  (Photo by Hulton Archive/Getty Images)

Salesforceのやり方はよくおわかりだろう。常に先を見ているということだ。今日の午後、同社はSalesforce Einstein(アインシュタイン)という名の、人工知能に関する新提案を発表した。

ライバルのオラクルによるOpen Worldの基調講演の直前というタイミングは、おそらく偶然ではないだろう。広い意味でのAIに関するテーマは、Salesforceが過去数年間にわたってそのプラットフォームのさまざまな部分に対して取り組んできていたが、今日の発表は、このアプローチの広がりを示すために、それらを一緒に結びつけたものだった。

それぞれの年には、最先端の技術トレンドが見られるが、明らかに今年は人工知能とその近縁の従兄弟である機械学習が、私たちのお気に入りのフレイバーだ。Google、Microsoft、AWSなどの大企業が、AIと機械学習ツールを構築している今、それは単なる流行語以上のものである。

Salesforceは、常に時代を先取りをしようとしてきた。それは、最初の真のクラウドサービスの1つだった(私たちはそれをクラウドと呼んでいないころからだ)し、昨年IoTクラウドを発表して ‐ IoT自身がその年の旬だった ‐ 人びとを驚かせた。しかしSalesforceは、デバイスやセンサーが、その利用者に顧客を理解し市場をより良く理解するためのきっかけを与えることを認識していた。

その一年後、私たちはSalesforce Einsteinを目にしている。これは1つプロダクトと言うよりは、その下にSalesforceの人工知能のテーマが集うテクノロジーの傘のようなものである。Salesforceの発表なので、もちろん幅広く多くのコンポーネントを含んでいるが、ここでの要点はSalesforceはAIの複雑さを活用して、そのプラットフォームのあらゆる側面に利用したいと思っているということだ、SalesforceのCRMに知性を注ぎ込む一方で、AIのAPIを解放して顧客にインテリジェントなアプリケーションをSalesforceプラットフォーム上で構築させることなどが含まれる。

MetaMind、PredictionIOそしてRelateIQなどの買収を活かしながら、同社はSalesforce Einsteinの構築のために175人のデータサイエンティストを招集した。実際MetaMindの創業者であるRichard Socherは、現在Salesforceのチーフデータサイエンティストの肩書を持っている。Salesforce Einsteinは、最終的には何らかの方法でその製品の1つ1つに関わることになる。

AI関連の技術に加えて、プラットフォームには高度な機械学習、ディープラーニング、予測分析、自然言語処理、スマートデータディスカバリーなども加わっている。

最終的には、顧客にとってはどの部分をみても同じようになるだろうが、現在同社は、より関連性のある情報を浮かび上がらせる、よりスマートなCRMの構築に集中している。ときには明らかに思えるかもしれないが、通常の良いセールス担当者なら求めているような情報を提供することが狙いだ。ここでのSalesforceの目標は、こうしたキーデータを目の前の中心に置くことであり、Salesforceは最も熟練したセールスのプロさえも、このアプローチの恩恵を受けることができると考えている。

一日中売り込み電話をかける内部の営業チームのために、システムが自動的に次の呼び出し先として、最も可能性の高い候補を選び出すことができる。また地域作業営業担当者のために、いつ競合相手の関心を引くニュース流されたかといったキー情報を保持しておくこともできる。抜け目のない営業担当者なら、こうした情報を追うことは当たり前だということもできるが、Salesforce Einsteinのアプローチはこうしたことを運任せにしないようにデザインされている。

よりスマートなアプリケーションを構築しようとしている企業にとっての課題の1つは、高品質のデータセットへのアクセスである。Salesforceは顧客、地域などに関する沢山の情報を持っていて、さらに情報を共有することを選択した顧客からの情報を集約して提供することができる(もちろん競合に関わる詳細は非公開のままで)。もしある企業がオプトアウトを選択した場合には、情報の共有は行われないことは明確にされている。そしてそれはデータテナントの概念によってそれを保証している ‐ それぞれの企業がプラットフォーム上にそれ自身の居場所を占めているということだ。

価格と可用性は可変である。追加料金の可能性もあるが、ライセンス費用に含まれる可能性もある。サービスに依存する。Einstein AI ツールは、Community Cloudのようなプラットフォーム全域で利用可能であり、自動的にケースエスカレーションの機能と、専門家、ファイル、グループの推薦機能を提供する;またスマートデータディスカバリーを備えたAnalytics Cloud;プロダクトレコメンデーション機能を備えたCommerce Cloudも提供される。これらの大部分が本日から利用可能であるが、他の機能も毎月順次発表されて行く。Prediction.IOは、オープンソースの機械学習ツールであり、無償でダウンロードして利用することが可能だ。

Salesforceにとっては、必ずしもこれらのAIアプローチを発明する必要はなかったにもかかわらず、自ら多くのAIと機械学習ツールを構築しているという点に注意することが重要だ。なにしろ、Salesforceがここで試みていることは非常に野心的で、ほんの始まりに過ぎないのである。まだまだ初期のステージであり、本当に広い方法で顧客に受け容れられるまでにはまだ時間がかかると思われるものの、顧客の準備が整ったときにはいつでもその場に居られるようにしたい、というのが典型的なSalesforceのやり方なのである。

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(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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