Airbnbが成長を続けるインドの旅行市場にフォーカス

airbnb-a8707ed9_original

中国市場へ参入するために投資家を募ってから1年も経たないうちに、Airbnbが次に狙ったのは、10億超の人口を誇るアジアの超大国インドだった。

Airbnbは中国のChina Broadband Capital(CBC)やHillhouse Capital、Sequoia Chinaといったファンドを頼りに、巨大メディア会社Times of India Groupとチームを組んで、サービスのローカライズと提供を目的とした投資を募った。ここには、Times of IndiaによるAirbnbへの出資も含まれている。

Times of Indiaは、自社が持つTimes of IndiaやEconomic Timesといった新聞やオンラインニュースサイトを含む、広範囲に及ぶメディアを武器に、「Airbnbが提供する宿泊施設についての啓蒙活動や、Airbnbがインドにおいて、本当の意味での現地ユーザー向けプレゼンスを創造していくためのサポートを行っていく」と発表した。

Time of Indiaにおけるデジタル事業子会社であるTimes Internet代表のSatyan Gajwani氏は、「私達は、サービスの運営だけでなく、人材獲得やビジネス戦略、広告活動等、Airbnbが可能な限り効率的にインド市場へ参入し、サービスを提供していくための手助けをしていくつもりです」と他ならぬEconomic Times上で語った。

昨年12月に投資家から15億ドルもの巨額の調達に成功し、少なくとも250億ドルに及ぶバリュエーションを記録したAirbnbをめぐる投資は、Times of Indiaがインド市場への参入を熱望する他のグローバルテック企業と、これまでに結んできたパートナーシップと似ている。その背景には、スマートフォンの売り上げ拡大を通じて、2017年までに5億人を超えると言われているネット人口がある。

Airbnbの目からも、インド市場の可能性は明らかだ。昨年、運営部門のトップであるVarsha Rao氏は、インドの旅行市場が今後5年間のうちに400億ドル規模へと発展していく可能性があると話していた。Airbnbは既にインドでのサービス提供を開始しており、昨年Flipkart傘下LetsBuy.com創設者のAmanpreet Bajaj氏を、同国のトップに置いていたが、更にインド市場の深掘りを進める狙いだ。

Screenshot 2016-04-18 18.51.34

インド国内でAirbnbが提供する宿泊施設の一部

Times Internetは、Uberのインドにおける協同出資者であり、その他にもBusiness InsiderやCoursera、Huffington Post等への出資を行っている。同社は、「Times Global Partners」を提唱しながら、インド市場参入およびローカリゼーションのサポートを行うための活動にそのリソースを投入し、グローバル化の中でインドへの進出を画策するテック企業のニーズに応えている。

Airbnb CTO兼共同創設者のNathan Blecharczyk氏は、Airbnbが「インド人旅行者の方々が、世界中どこへ行っても現地の人々と同じような体験ができるよう、我々のサービスのインド化に努めています」との声明を発表した。

中国のように、インドでは海外旅行だけでなく、国内旅行に対する需要も多い。そんな中、ソフトバンク主導の投資ラウンドで100万ドルを調達した、低予算旅行者向けホテルを運営するOYO Roomsによって、その競争は激化している。OYO Roomsや同様のサービスを提供している企業は、多くの地域でオフラインでのホテル探しが未だ主流であるインドにおいて、ある一定レベルの宿泊サービスを安価に提供することに特化している。一方Airbnbは、宿泊という体験を提供することを主な売りとしている。つまり、ひとつひとつの宿泊施設が良い意味でユニークな存在であるのだ。(少なくともAirbnbのマーケティング戦略によれば)

Airbnbは、インドの消費者を世界190ヶ国、3万4000を超える都市をカバーする、200万件もの宿泊施設を利用した旅行へと誘惑すると同時に、手頃な宿泊サービスも売りだしていく算段のようだ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake 500px)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。