Airbnbが新型コロナ対応で1080億円の協調融資を確保

Airbnb(エアビーアンドビー)は機関投資家からの協調融資で10億ドル(約1080億円)を確保した、と発表した。

緊急のキャッシュ注入は、新型コロナウイルスによる移動制限でバケーションレンタルが無惨なものになっていることを受けての措置だ。人々は家に閉じこもり、海外旅行は禁止されたり公衆衛生上の懸念から控えるよう強く促されたりしている。

融資を引き受けた機関の名称や条件などは明らかにされていない。しかしロイターはこの件に詳しい情報筋の話として、プライベートエクイティファンドのSilver Lake、Apollo Global Management、Sixth Street Partners、Oaktree Capital Management、Owl Rockによるもので、なかでもSilver Lakeが「中心的な役割を担っている機関の1つ」とされている、と報じている。ただし全社ともコメントを拒否した。

ロイターの情報筋によると、融資期間は5年間で、金利はLiborベンチマークで750ベーシスポイント。投資家らは12%ほどのレートで稼ぎ、ローンの額面は少しディスカウントされているという。協調融資の条件は第一順位担保で、もしAirbnbが債務不履行に陥った場合、リストにある債権者が最初に支払われるという。

我々はAirbnbにコメントを求めている。

今月初めAirbnbは前述のプライベートエクイティファンド、Silver LakeとSixth Street Partnersから債権と株式で10億ドルを調達したことを発表していた。その際、Airbnbは苦難の時期を乗り越えるのに使うのではなく、現在進行形の長期的戦略にあてられると話していた。

10億ドルの協調融資は明らかに、COVID-19による足元の影響に対処するためのものだ。しかし、Airbnbは声明の中で、パンデミック後の将来について旅行が活発になるという上向きの予想図を描こうとしている。ただ、それがいつになるのかは具体的に示せていない。

「旅行業界のあらゆる部門がパンデミックという嵐の渦中にあるにもかかわらず、多くの機関が当社に対して示してくれた自信や信頼に深く感謝する。人々が再び旅行するようになるのはわかっている。支援により当社はしゃがみこむのではなく、コミュニティに投資しながら前進を続けることができる」とAirbnbの共同創設者でCEOのBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は声明で述べた。「ここ数週間取ってきた措置で、パンデミックという嵐がどれくらい長く続こうとも当社はさらに強くなって嵐から抜け出すだろう」。

現金の注入は「Airbnbが引き続き世界220カ国・地域にまたがるホストやゲストの企業やコミュニティに引き続き投資できることを確かなものにする」と同社は述べた。

同社は先月、ゲストがコロナ禍の予約の全額返金を受けられるようポリシーを変更したが、その後同社はキャンセルや返金に直面したホストから怒りをぶつけたられていた。そして同社は新型コロナによるキャンセルで影響を受けたホストを支援するために2億5000万ドル(約280億円)を拠出した。

英国を含む一部の国は新型コロナパンデミック中のホリデーレンタルを全面禁止している。英国は最近、「隔離の隠れ家」と広告していたホストを見つけて取り締まった。

また、Airbnbのようなプラットフォームでレンタルを提供しているプロの貸主が、現状コストがかかるばかりとなっている空室物件で収入を得ようと模索していて、ロンドンのような一部のマーケットで長期貸し物件が増えているというレポートもある。

住居賃貸契約は5年以上延ばすことができる。レンタル物件がそうしたマーケットに流れ込めば、レンタルプラットフォームが今まで金儲け手段として利用してきたバケーションレンタルの多くの物件が使えなくなるかもしれない。

1つ確かなことがある。グローバルの旅行危機はAirbnbのIPO計画に大きな影を落としている。昨年9月、同社は投資家、従業員、そして世界に対し2020年に上場すると明言した。その数カ月後にコロナウイルスが発生し、2019年にピーク時は350億ドル(約3兆7000億円)あったバリュエーションが激減した。

ロイターによると、先週プライベートエクイティファンド2社との10億ドルの債権ディールには保証が含まれていて、これはバリュエーション180億ドル(約1兆9000億円)という数字で計算されるかもしれない。3月初めに同社が内部で使用したバリュエーション260億ドル(約2兆8000億円)をもずいぶん下回っている。

画像クレジット: TOSHIFUMI KITAMURA / Contributor / Getty Images

参考:Airbnbが新型コロナ禍の中、未公開株式投資会社から1000億円超を調達

新型コロナウイルス 関連アップデート
[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。