Airbnbが旅行ガイドブックとアルゴリズムによる最適な地域、宿泊先マッチング機能を実装

500px Photo ID: 146659859 - [NO RELEASE NECESSARY] neighbourhood: Ipanema                     Date: 16/03/27
Photographer: Eduardo Zappia
Caption: Ipanema Beach

昨年11月、Airbnbが私有物件を貸し借りするP2Pマーケットプレイスの役割から「体験」の提供へと拡張するための検証を行っているようだとTechCrunchで報じた。この「体験」には詳細な地元のガイドや旅行先で使用できるプリペイドカードなどの施策が含まれる。現在Airbnbは拡大し続け、3万4000都市の200万物件を掲載するまでになり、新たな施策を展開しようとしている。

今日のアプリアップデートで、Airbnbは各地域の「ガイドブック」をローンチした。これらは、地元のホストや頻繁に利用するユーザーから集めた情報を掲載している。これと共にそれぞれのユーザーにとって最適な物件や特定地域を導きだすために、ユーザーの好みを理解する新しいシステムとアルゴリズムをリリースした。

ガイドブックは35都市の300万件の情報を掲載する。「地元地域マッチング(Neighborhood Matching)」は、Airbnbで最も人気の23の都市に対応する。オースティング、バンコク、バルセロナ、ベルリン、ボストン、ブエノスアイレス、タホ湖、ロンドン、ロサンゼルス、メルボルン、メキシコシティー、マイアミ、ニューヨーク、パリ、リオデジャネイロ(上の写真はここ)、ローマ、サンフランシスコ、ソウル、シドニー、テルアビブ、東京、ベネチア、ワシントンD.C.だ。Airbnbはサンフランシスコでのイベントで公式にこのサービスについて公式に発表する(詳細がわかり次第、またお伝えする)。

場所のガイドや地域を提案するのは、Airbnbがプラットフォームのグロースを維持すること、そしてそれに伴いプラットフォーム上にあるロングテールの物件が長く使用されないのを防ぐためだ。また、良いロケーションにある物件の価格に潜在的なゲストが気圧されたり、ユーザーが選択した地域での物件が全て埋まっているような状態を避けたい。全体の3/4の物件は、都市の中心地区の外に位置している。

Airbnbは少し異なる方面でこの課題を解決する。騙されたと思って試すと、例えばロンドンなどの都市に旅行する時、人ごみから離れた(それでも中心地からは離れすぎない)地区に泊まることには良い面もある。

「Airbnbで旅行する理由の一つは、旅行者は地元の人のような生活をしたいからです。長い列に並んだり、他の全員と同じものを見るために人ごみにもまれたりするような観光客にはなりたくないのです」とAirbnbの共同ファウンダーでCEOのBrian Cheskyは声明で伝える。「私たちのホストは、より自然なおもてなしを提供します。世界中の旅行者をコミュニティーに招き入れています。どこかに旅行するのではなく、旅行先で本当の意味で生活する体験を提供するという私たちの旅路が今日から始まります」。

Airbnbにとって興味深い時期での開発となる。Airbnbの評価額は報道によると255億ドルであり、24億ドルを調達している。彼らのライバルは大手ホテルや旅行会社に買収されているが、Airbnbは独立したまま大きなビジネスを展開し、その数字が正当なものであると示したい考えだ(たくさんある素敵な物件のオーナーもそれが訪問者でいっぱいになることを期待している)。

財政面について、私たちが昨年気づいたプリペイド支払いサービスの近況を含め尋ねたところ「開示できるアップデートはありません」と短い返答しか得ることができなかった。興味深いことに、Airbnbは今月の初め、ブロックチェーンの支払いスタートアップであるChangeCoinのチームをアクハイア(人材目的の買収)している。しかし、支払いサービスについての具体的な計画は示されていない。

「私たちはChangeTipを手がけるチームメンバーをAirbnbに招き入られたことを嬉しく思います。彼らはエンジニアチームに参加し、私たちのインフラ部分を構築します」とスポースクマンは私たちに話した。「私たちはChangecoinの資産を買収したのではありません。また、AirbnbのエコシステムにBitcoinを導入する計画もありません」。

それとは別に、Bloombergは数日前にAirbnbのCEOであるBrian CheskyがユーザーがAirbnbのプラットフォームを介して別の旅行サービスを購入したり、予約したりする機能を検討していると 伝えた。この部分は注視に値するだろう。

Airbnb App v3今日のニュースに話を戻すと、Airbnbの名高いマッチングサービスはユーザーに宿泊先の好みを「会話」方式で設定することができるという(ボットの台頭で、これは今注目を集めているテーマだ)。

これはユーザーが宿泊先を探す際に最適な物件を見つける助けとなるだろう。また、アプリには機械学習が組み込まれているので、ユーザーがアプリを使用する度にユーザーの好みを覚えて、賢い提案を行うようになる。宿泊先のみならず、ユーザーに最適な地域や価格帯まで学ぶ。

「マッチングプロセスで旅行者が選択する明確なフィルター以外にも、私たちは洗練された機械学習アルゴリズムを有し、ユーザーに最適な場所を見つけ出します」とスポークスマンは私に話した。

「個別の掲載物件を探している旅行者に対してアルゴリズムは、そのユーザーが気に入りそうな類似物件を表示します。このアルゴリズムは部屋のタイプ、ゲストの人数、ユーザーが何度物件を閲覧したか、探している価格帯、類似掲載物件などの要素を見ています。ここ数ヶ月機械学習モデルを検証してきて、今後も引き続き検証しますが、その間物件の成約率は激的に上昇しました」。

「地元地域マッチング」機能も似たように使うことができる。23都市における691の特定地域に対応する。この機能の目標はユーザーが当初検討していなかった地域を紹介することだ。

ガイドブックの方は、Airbnbが昨年から集め始めた「体験」が結実したもののようだ。これらは特定の場所へ地元住民(あるいは、その土地を訪れた旅行者)からの「パスポート」と形容している。

この機能に関してはAirbnbをTripAdvisorやYelpといったサービスの競合に位置付けることができる。この機能の実装で、Aibnbの旅行者が旅行中もAirbnbのアプリを参照することになるかどうかは注視したい。ただ、Airbnbにとって重要なのは、将来的に自社サービスに外部のサービスを追加するための土台作りをこの機能で進めることだろう。

Airbnbは最新のアップデートに伴いブランドイメージとマーケティングを強化していく。ブランドの知名度を上げるためにテレビや他のプラットフォームにおいて大々的な広告キャンペーンを行う。また、Airbnbは新しいブランドのデザインと言語に基づいて同社のプラットフォームを展開していくとした。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。