Alexaの子供向け音声アプリで両親の承認付き購買が可能に

Amazonは、開発者に対して、子供向けのAlexaスキルの中でプレミアムコンテンツの購入が可能になるようにした。6月14日に同社は、アプリ内購入機能を開発するための新しいツールを発表した。このアプリ内購入は、Amazonアカウント所有者(典型的には母親か父親)が、SMSやメールで送られてくる購入要求を、承認したり拒否したりすることができるというものだ。

スキル内の購入機能が、全米のAlexa開発者に最初に開放されたのは昨年のことだったが、最近世界中の開発者たちも利用可能となった。しかし、他の子供向けアプリと同様に、キッズカテゴリの中にあるAlexaのスキルには購入承認ワークフローを提供することが求められていた。さもなければ、子どもたちによって、親の立場からは承認できない購入が行われてしまう危険性があるからだ。

それこそが、新しい開発者ツールが使われる場所となる。

現在開発者は、 Alexa Skills Kit Command-Line Interface(ASK CLI)、またはAlexa Developer Consoleを使って、子供用プレミアムスキルを開発することができる。 新しいツールを使うことで、スキルからの購入要求を、SMSもしくは電子メール経由でアカウント保有者に送信することができる。その後アカウント保有者が24時間以内に要求を承認しなければ、その購入要求は自動的に取り消される。

プレミアムコンテンツは、ワンタイム購入またはサブスクリプションのいずれかの形式で提供される可能性があるとAmazonは述べている。

一部の開発者たちは既にツールへの早期アクセスを用いて、自身の子供向けスキルにプレミアムコンテンツを追加済みだ。そうした開発者に含まれるのは、Amazonの開発者コンテストの優勝者や、Kids CourtYou Choose Superman AdventuresTravel QuestAnimal Sounds、そしてMaster Swordsなどのスキル開発者たちである。

自分の子供が何かを買うことを望んでいない親たちには、これらすべてからオプトアウトするための2つの選択肢がある。

1つは、Alexaアプリの設定→Alexaアカウント→Voice Purchasing(音声購入)→Kid Skills Purchasing(子供スキル購入)から機能を無効化する方法だ。一方、Echo Dot Kids Editionに付属しているFreeTime on Alexaの顧客の場合は、プレミアムコンテンツの購入機能は提供されない。そして、FreeTime Unlimitedにアップグレードした場合には、サブスクリプションに含まれる多くのプレミアムコンテンツを手に入れることができるようになる。

この子供向けスキルのプレミアム購入オプションの追加は、Amazonにとって難しい時期に行われようとしている。

Amazonは、 Alexaの子供のプライバシー侵害に関する新たな訴訟が起こされたことを受けて、今週新しいデザインと内部機能と共にEcho Dot for kidsをアップデートした。訴状によれば、Amazonは同意なしに子供の声を録音したのだという。

最新のEcho Dot for kidsエクスペリエンスの一環として、Amazonは、Family Online Safety Institute(FOSI、オンライン家庭安全研究所)およびさまざまな業界団体と協力し、米国の子供のプライバシー保護法であるCOPPA(Children’s Online Privacy Protection Act、子供のオンラインプライバシー保護法)を遵守するために、FreeTime on Alexaを再構築した。

Amazonは現在、Alexaのスキルによる子供の個人情報へのアクセスや収集を制限しており、両親が子供の音声録音を削除する方法を提供している、と述べている。

しかし、Kids Edition Echoスマートスピーカーとそれに関連する機能セットへの変更は、原告の申し立てに対して完全な解を与えるものではない。

今週行われたAmazonの発表によれば、親たちはAlexaアプリもしくはAlexa Privacy Hubを介して録音をレビューしたり削除することが可能になった。そしてカスタマーサービスに対して自分の子供のプロフィールを削除するように要求できるようになっている。しかし、訴訟では、Amazonが録音を管理する方法(両親に行動を取るよう促す方法)は理想的ではないと述べられている。原告らは、例えばAppleのSiriは記録を短期間だけ保存するだけで、自動的にそれらを削除することを指摘している。

さらにCNETは、たとえ利用者が自身で録音を削除したとしても、Amazonが文字起こしされたテキストを保持し続ける可能性があることを発見した

プライバシー規制が、技術のペースに追いつくには時間がかかる。子供がいる家庭でスマートスピーカーをどのように運用するべきかに関する現在の課題は、そうした問題の1つの例なのだ。親たちはこれらのデバイスを購入してインストールする一方で、Alexaの知性がアルゴリズムとAIだけで支えられているのではなく、人間によっても支えられているということはあまり意識していない。すなわちそこでは人間が録音を聞き、エラーをチェックし、そのデータを使ってAlexaの動作を改善しているのだ。

もちろん、この種のことをあまり気にせず、その侵害の可能性に関係なく、単にデバイスを使用することを楽しむ人びともいる。そうした人びとは、特に家族がそのスキルを一緒に楽しんでいたり、価値を付け加えていると感じられる場合には、使っているスキルをアップグレードできることや、お気に入りの開発者を支援できることを高く評価するかもしれない。

Amazonは現在、子供向けスキルを通じて販売する機能を、すべての開発者に提供しているわけではない。購入機能付きの子供向けスキルを開発することに興味のある開発者は、アマゾンに対して自分たちの計画を伝えるためのフォームを記入して提出することができる。そのアプリケーションが選ばれた場合には、Amazonが連絡してくることになる。

[原文へ]

(翻訳:sako)