Amazon、 独自スマートフォンFireを発表―3Dヘッドトラッキング機能を備えて199ドルから

今朝(米国時間6/18)、Amazonの最初のスマートフォン、Fireが登場した。ジェフ・ベゾスはプレスイベントで「これはAmazonプライムの会員向けのスマートフォンだ」と述べた。

FireはAT&Tの独占販売で2年間の契約で199ドルから。今日から予約を受け付ける。またFireには無料で1年間のAmazonプライム会員となれる特典が付く。現在、プライム会費は年間99ドルなのでこれは相当に魅力的な価格だ。

一見したところではFireは現在市場に出まわっている無数のスマートフォンと変わりはないように見える。しかし、Fireにはユーザーの顔の位置を認識する秘密の機能がある。Fireの表側の四隅にはそれぞれ赤外線カメラが埋め込まれており、ユーザーの顔位置に応じて前代未聞の3D効果を生み出す。ただし3Dといっても画像が飛び出して見えるという普通の意味の立体視ではない。

ヘッドトラッキング・テクノロジーによってユーザーの顔とFireとの相対的位置関係に応じた画面が表示される。つまりFireのスクリーンという窓を通して現実の空間を眺めているようなイリュージョンが生じる。この3D効果がAmazon Fireに注意を引くための単なるギミックで終わるのか、スマートフォンの次世代UIになるのかは今後を見なければならない。

Fireは4.7インチのIPS液晶ディスプレイ、手ブレ防止、f2.0レンズ付き13メガピクセルのリアカメラ、クアドコア2.2GHzチップ、Adreno330グラフィックス、2GBのRAMを備える。最新のAndroidフラグシップモデルほどのスペックではないが、快適に利用するには十分な能力がありそうだ。

Amazonはヘッドトラッキング3DシステムをDynamic Perspectiveと呼んでいる。毎秒60フレームのスピードで3D画像が再描画される。3D表示されるレイヤーは他のレイヤーの下に表示される。ユーザーはアイコンの下に3D画像を見る。4台のカメラは極めて広角のレンズを備えている。赤外線カメラなので非常に暗い場所でも空間認識は機能する。

Dynamic Perspectiveは単に3D表示ができるだけでなく、Fireを傾けるジェスチャーによって自動的に表示をスクロールさせることもできる。

以前にわれわれが報じたとおり、Amazonはデベロッパーに対してDynamic Perspective向けのSDKを用意している。われわれが取材したAmazon社員によると、Amazonはデベロッパーがこのテクノロジーを利用してアプリを作るようになることを熱望しているという。

AmazonがFireをプライム会員のために作ったというのは文字通りの意味だ。Fire TVと同様、Fireスマートフォンもプライム会員になった際に登録したユーザー情報が予め入力された状態でユーザーに対して発送される。結局のところFireの狙いはAmazonの上得意により多くの商品を買ってもらうことだ。Kindle Fireと同様、ユーザー個人向にカスタマイズされたサポート・サービス、MaydayがFireスマートフォンにも用意される。

さらにFireにはFireflyというオリジナル機能がある。これはカメラで電話番号、映画、本、ゲーム、CD、食品などを撮影すると、その商品が何であるか認識するシステムだ。Fireスマートフォンのユーザーは現実世界で目にしたものをカメラで撮影するだけで即座にAmazonから買うことができる。AmazonにとってFireflyは非常に強力なマーケティング・ツールとなりそうだ。

Fireスマートフォンは側面のボリューム・コントロールの下にFirefly専用のボタンを備えている。

Fireflyは芸術作品を見るとWikipediaで情報を検索してくれる。音楽を聞くと音楽アプリを起動してその音楽を再生する。テレビ番組を見ると、Amazonでそのシーンを探し出す。ベゾスは「Fireflyは1億種類のアイテムを認識できる」と豪語した。Fireflyのデベロッパー向けSDKも公開される予定だ。

またFireのユーザーはAmazonのクラウド・ドライブに容量無制限で写真をバックアップできる。 高性能なカメラとあいまって、Amazonは写真好きなユーザーの取り込みを狙っているようだ。

またFireにはPandora、Spotify、iHeartRadioその他人気のある音楽ストリーミング・アプリがプレロードされている。ユーザーはAmazon Prime Musicの現在のところ貧弱なライブラリーに我慢する必要はないわけだ。

TechCrunchではAmazonoの独自スマートフォンについて9ヶ月前から多くの情報を得てきた。ヘッドトラッキング機能ユーザー向け独自機能についてもスクープしている。われわれは3Dヘッドトラッキング機能がOmronのOkao Vison顔認識テクノロジーを利用していることも突き止めた。またAT&Tがキャリヤとして独占販売権を手に入れたことも報じている。今回のAmazonの発表の内容の大部分はTechCrunchがすでにつかんでいたといえる。

〔日本版:「信頼を生む方法: 1. 困難なことをきちんとやり遂げる。2. それを繰り返す。」というお気に入りのモットーを説くベゾス。イベントのライブ・ブログに写真多数。〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+