Amazon、Prime Nowによる1時間内配送サービスの提供を国外にも拡大。まずはロンドンを対象に

p1040083

Amazonが、1時間で商品の配送を行う「Amazon Prime」のサービスのロンドン展開を開始した。Prime Nowアプリケーションもアップデートされ、「ロンドンの一部地域にも対応」と記されている。6ヶ月ほど前にPrime Nowのサービスを開始して、今回のロンドン展開がアメリカ以外における最初の事例となる。Amazonにしてはずいぶん素早い国際展開であるようにも思える。

現在のところ、Prime Nowの適用範囲はロンドンのゾーン1(ないしはゾーン1の一部)に限られているようだ。ゾーン2やゾーン3の郵便番号を試してみると、サポート圏外となってしまった。しかしゾーン1圏内のSouthwarkの郵便番号を試すと、対象商品について1時間以内配送を行う対象地域である旨が表示された。なお、アプリケーション内には「対象地域は可及的速やかに拡大していく予定です」とも記されている。ロンドンに住んでいる人はamazon.co.uk/primenowにて対応地域か否かをチェックしてみれば良いだろう。

1時間以内配送が最初に導入されたのは昨年12月、マンハッタンにおいての話だった。そこからダラス、バルチモア、そしてマイアミへと対象地域を拡大していったのだった。Prime Nowを利用できるのはPrime会員のみだ。年会費が必要なPrime会員を増やすためのサービスとしての側面もあるわけだ。ロンドンなどの大都市圏においては地域密着型のデリバリーサービスなども誕生してきており、そこに対抗しようとする意図もあるものと思われる。さらにAmazonは出前注文の分野にも進出しつつある。このたびの1時間以内配送サービスの実現は、今後のサービス拡大に向けた一歩と捉えることも可能だろう。

Amazonによると、Prime Nowの配送に対応している製品は「数千種類」に及ぶとのこと。ただし注文額の合計は20ポンド以上である必要がある。切れてしまったキッチンタオルを購入するといった使い方にはむいていないことになる。配送時間体は朝8時か深夜0時までとなっているが、配送時間に2時間以内を指定した場合には追加コストはかからないが、しかし1時間以内を指定した場合には1回につき6.99ポンドの追加費用が必要となる(Prime会員は当日配送ないし翌日配送のサービスを無料で受けることができるようになっている)。

AmazonはPrime Nowのサービスを展開するにあたって、当初は「日用品」(essentials)の提供を行うためのサービスであるとしていた。しかし取り扱い製品は拡大を続け、たとえばロンドン版のPrime Nowでは、Apple TV、Raspberry Pi Model B、HPデスクジェットプリンター、あるいはDaewoo製電子レンジなどのハイテク製品を含む27の商品カテゴリーに及ぶプロダクトが対象となっている。

Prime Nowは結局、「すぐに欲しいもの」をターゲットとするサービスになりつつあると言ってよいだろうか。ホリデーや旅行のためのプロダクト、ないしパーティーやイベントで必要になるもの、さらには忘れていた誕生日の帳尻合わせ製品などがPrime Nowの対象となっているようだ。

なお、配達する人へのチップの支払いも行えるのがなかなか面白いところだ。いつも使うチップの額が設定できるようになっていて、それを配送製品などによって増減できるようになっている。チップはAmazonの支払いと同時に回収されるが「チップとして設定された額はすべて配達人に渡るようになっている」とのこと。また、Prime Nowのサービスに対応すべく、「専任の担当チーム」が働いているのだそうだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。