Amazonのプライム会員サービスが出店者にも適用へ、個別契約なので一挙には無理だが

Amazonは、有料会員制Prime(プライム)の利用価値を上げることに、このところ非常に熱心に取り組んでいる。今回は、これまでAmazon本体だけからだった各種サービスが、Amazonを利用している商業者、いわゆる出店(出品)サービスからも受けられるようになり、プライムの利用価値がいよいよ本格的になってきた。これからはプライム会員は、例えばイギリスでは、送料無料、当日・翌日配達などのサービスを、AllSaintsのオンラインストアからも受けられるようになる(Re/codeの記事より)。またAmazon.comで検索したとき、結果にAllSaintsの商品も含まれるようになる。ただしそれらをクリックすると、Amazon上でなくAllSaints本来のWebサイトに連れて行かれる。

不思議なことに、Amazonがそうやって顧客をAllSaints.comへリダイレクトするにあたっては、アフィリエイト料金を取るだけだ。9月からのパートナーシップにより顧客は、Amazonへのログインと決済情報を使って買い物を完結するのだが、そのぶんの料金はない。でもなにしろ、プライムはAmazonにとって上客だ。Amazonの、オンライン小売企業としての売上と利益を引っ張っているのは、今やプライム会員であり、最近の調査によると、Amazon本体からのプライム会員のお買い上げ額は、非会員の倍近い。

このほか今日(米国時間11/4)Amazonは、プライム会員だけが利用できる容量無制限の写真保存ストレージのクラウドサービスを開始した。タブレットやスマートフォンのおかげで、今や世の中の全員がフォトグラファだから、このサービスは誰にとっても便利だ。プライムの料金は今年値上げされたが(合衆国)、合わせて音楽のストリーミングが加わり、ビデオのカタログも増加、オリジナルコンテンツの制作もできるようになり、そして今回の、プライムサービスの出店者への拡大が加わる。

この、プライムサービスの出店者への適用は、Amazonと店側との個別の契約になるから、どれぐらい早く、どこまで広がるかは未定だ。Re/codeの記事によると、Abercrombie & FitchやNeiman MarcusはAmazonへの出店にうんと言わなかった。Amazonが自分の店の顧客のデータにアクセスすることと、安物も含めてなんでもかんでも売ってるAmazonで自己のブランドイメージが希釈されることを、これら高級店はおそれたらしい。

しかし、はっきりしているのは、Amazonは顧客に、会費を払うプライム会員になってほしい、と願っている。でも、その気をそそるだけのメリットは、まだ十分に揃っていない。プライムがAmazon本体だけでなく出店者もほぼすべてカバーできたら、航空会社のマイレージみたいに用途の広い特典になる。しかも、Webのほぼ全域にわたって。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))