AmazonのiOSアプリにカメラによる商品検索機能搭載―リアル店舗のショールーム化いよいよ進行

消費者は現在でもリアル店舗を訪れるとスマートフォンを使ってさかんに価格比較をしているが、店舗にとって状況はさらに悪化しそうだ。

Amazonは「カメラでショッピング」機能をメインのiOSアプリに追加した。これまでは棚に並んでいる商品のバーコードを読み取る必要があったが、これからは写真を撮るだけでAmazonその他のeコマースサイトとの価格比較ができる。

Amazonにとっては商品の画像認識は新しいテクノロジーではない。Amazonはすでに傘下のA9(オンライン検索および広告事業部)からFlowというスタンドアロン・アプリを提供している。

今回はこのツールがメインのアプリに統合されたわけだが、ここでもFlow機能と呼ばれている。スタンドアロン・アプリが公開されたのは2年と少し前だが、AmazonはメインのiOSアプリに統合する前に十分な時間をかけてテストを繰り返してきたわけだ。

FlowのiOSアプリ(将来はAndroidにも)の発端はAmazon A9がSnapTellを買収したときに遡る。このスタートアップは画像による商品検索テクノロジーの開発を行っていた。SnapTellで商品(正確にはCD、DVD、ゲームのジャケット、書籍の表紙)の写真を撮ると、Amazon,だけでなくGoogle、eBayその他主要なeコマースサイトの価格を検索することができた。

AmazonのiOSアプリに統合されたFlowの検索対象はオリジナルより広い。CDやDVDのパッケージや本の表紙だけでなく、ロゴやキャラクターなど特徴ある画像を幅広く認識できる。さすがに箱から出してしまった商品、たとえば居間に転がっているヘッドホンの写真では検索できないが、ショッピングの際の価格比較用には問題ないだろう。

正確さと幅広さでは商品のバーコードをスキャンするのが一番だが、商品を棚から取り出してひっくりかえさねばならないこともあるし、印刷位置がわかりにくい商品もあるのでやはり多少面倒だ。パッケージの写真をぱちりと撮るだけいいというのはやはり使い勝手がいい。.

カッコーが他の鳥の巣に卵を産み付けるように、Amazonはライバルの現実店舗を自社のショールーム代わりに使うという寄生虫作戦を取っている。画像認識機能の追加で、この作戦はますます効果的になるだろう。

〔日本版:このバージョンのAmazonアプリは現在は日本のApp Storeからはダウンロードできない。アメリカのApp Storeで有効なIDが必要〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+