Amazon以後のeコマースでも10億ドルビジネスは作れる―家具・インテリア通販のWayfairの成功の秘密

eコマースの分野でAmazonの向こうを張ろうとうするのは無駄な試みに思える。しかしそれでもこの分野でAmazon以後に10億ドルのビジネスを作ることに成功した会社はいくつか存在する。ボストンに本拠を置く比較的無名の企業、Wayfairがその一つだ。

Wayfairは2002年に大学の同級生Niraj ShahとSteve Conineによって操業された。当初の名前はCSN Storesだったが、2011年の現在のWayfairに改められた。ShahとConineは連続起業家で、1998年に最初の会社SpinnersをXMLに売却することに成功している。

ShahとConineの会社のすごいところは家具・インテリアその他家庭用品のオンライン通販という競争の激しい分野で着実に10億ドルのビジネスを作り上げ、来年か再来年の株式上場を準備するところまで来たことだ。

Wayfairは高級品志向ではなく、ミッドレンジの商品をターゲットにしている。つまりMacy、Overstocks、Target、Bed Bath and Beyondsといった名だたるライバルがひしめく市場だ。さらにOne Kings Lane(高級インテリア用品のフラッシュセールス)、Joss & Main(高級家具)などもWayfair.comのライバルだ。

私の取材に対してShahが説明したところでは、同社は派手なマスコミ向けPRはできるだけ控えてきたという。最近では初期のTwitterへの投資で知られるSpark CapitalやBattery Ventures、HarbourVest Partners、Great Hill Partnersなどの有力な投資家がWayfairを支援しているが、それ以前の9年間はほとんど自己資金でまかなってきた。2011年にWayfairは外部資金を調達して事業拡大を加速することを決め、上記の投資家から2億ドルを集めた。

Wayfairのサイトには8000の供給会社による1万2000のブランドの700万アイテムの家庭用品と家具が登録されている。2013年の実績は注文ベースで10億ドル、売上で9億ドルを記録した。これは2012年の6億ドルからの大幅なアップだ。

Wayfairはユーザーが関心を持ったアイテムPinterest風に貼り付けられるクリップボードなどユーザーの購買意欲をかきたてるような仕組みを数多く用意している。実際、Wayfairは300人のデータサイエンティストとエンジニアを雇ってユーザーデータを解析し、サイトをそれぞれのユーザーにマッチさたカスタマイズを行っている。TargetやWalmartなどの伝統的企業も最近、ユーザー別カスタマイズのテクノロジーの重要性にやっと気づいて模索を始めているようだ。

アメリカの家具、インテリアその他の家庭用品市場は2000億ドルで、そのうちオンラインでの売上はわずか5%に過ぎない。他の分野同様にオンライン化が進めばWayfairのビジネスもそれにつれて拡大されるだろう。ShahによればWayfairはオンラインの家具、家庭用品市場の約1%のシェアを握っているという。AmazonもQuidsiの買収などによってこの分野に力を入れ始めているが、Shahは十分に競争していけると自信を見せた。

Shahはeコマースにおいて、家具インテリア、宝飾、ファッションといった分野では1社の一人勝ちが不可能だと考えている。本や家電、エレクトロニクス製品、生鮮食品などの分野と違い、家具や宝飾、ファッション分野ではユーザーはそれぞれに独自性を求めているからだ。

Shahは株式上場を計画していることを明言しており、最近Warner Music Groupの会長、Michael FleisherをCFOとしてスカウトした。

この分野の数多くのライバルもテクノロジーの積極的な利用などによってシェアの拡大を図るだろうから、2014年には競争は一層激化するだろう。Wayfairの今後には引き続き注目していきたい。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。