Androidの新機能Nearbyが現在地に応じて便利なウェブサイトやアプリをお知らせ

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先月のI/Oカンファレンスで、Googleは「Instant Apps」という新たなコンセプトを発表した。これは、アプリを小さなモジュールに切り分けることでダウンロードを高速化する方法で、あるアプリの必要な機能だけをダウンロードすることができる。しかし、Googleは、そもそもユーザーがどのようにしてそのようなアプリと出会うのか、ということに関してはカンファレンス内では触れていなかった。そして本日(米国時間6月9日)、Googleは、位置情報をもとに役に立ちそうなアプリを通知する「Nearby」と呼ばれるAndroidの新機能を発表し、その画を完成させようとしている。

Google自身は、NearbyがInstant Appsと一緒に使われることを想定している、とまでは言わなかったものの、そう考えるのは自然なことだ。Instant Appsはまだテスト中だが、今後Nearbyと結びついていくと考えるのは合点がいく。

まず、ユーザーは便利なアプリの通知を受け取り、ダウンロード後に起動する。そこでダウンロードを高速化するInstant Appsの技術を使わない手はない。

さらに、Nearbyを通じてGoogleは、(現在地に関連したものがあれば)おすすめのモバイルウェブサイトに関する情報提供も行っていく予定だ。おすすめサイトの通知機能は、以前Physical Webプロジェクトで行われたテストによって確立されたもので、情報提供を行うには、Nearbyと連携可能なビーコンがその場所に設置されている必要がある。

既にビーコンとNearbyを利用した「proximity-based experiences(=近接型経験)」とGoogleが呼ぶサービスは開発されており、The Broad MuseumUnited AirlinesThe University of Notre DameCVS、AirsideのMobile Passportなどで利用されている。

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実際にNearbyが使われるようになれば、オリジナルアプリを提供しているお店の近くに行くと、そのアプリの通知が届くかもしれない。また、美術館にいれば、音声ツアーのアプリに関する通知を受け取るかもしれない。飛行機に乗ろうとしているところなら、手に持っているAndoroidデバイスが、航空会社の提供する機内エンターテインメント用アプリのインストールを勧めてくるかもしれない。

さらに、Google CastやAndroid Wearを搭載した時計など、一部のデバイスも同様の機能を使い、ユーザーが近くにくると、専用アプリのインストールを促すようになる。

Nearby機能は、AppleのiOS8に搭載されていた、ロックスクリーン上におすすめアプリを表示する機能とどこか似ている。この機能も、ユーザーの現在地に応じて情報がアップデートされていた。しかしiOSの場合は、表示されたアプリが既にインストールされていればそのアプリが開くものの、まだインストールされていなければ、ダウンロードのためにApp Storeへ誘導される。

AndroidのNearbyだと、プッシュ通知が採用されているため、おすすめ情報がもう少し目立つようになっている。

嬉しいことに、本機能はオプトアウトではなくオプトインのため、Nearbyをオンにしない限りは、アプリについてもウェブサイトについても通知を受け取ることはない。

一旦オンにすると、通知をタップすれば紐づいた情報を見ることができ、もしも通知内容に興味がなければ、その他の通知のようにスワイプして消すこともできるとGoogleは語る。

また、Googleによると、Nearby機能はBluetoothと位置情報をオンにしていないと使えない。本機能は、新たなGoogle Play Servicesの一部として提供されており、Andriod 4.4(KitKat)以降に対応している。

利用可能なアプリの数が増加の一途をたどる中、目的にあったアプリをみつけること自体が最近難しくなってきている。現在Googleのアプリストア上に100万、Appleの場合は150万ものアプリが登録されている。実は、ちょうど昨日、Appleはこの問題を解決するためにApp Storeを大幅にアップデートしていた。アップデートには、ユーザー毎に既にインストールされているアプリを表示しなくなった「おすすめ」セクションや、3D Touchを使った共有機能の向上、App Storeへの検索連動型広告の導入などが含まれている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake