ANYmalはシミュレーションで起き上がり方を学んだ――チューリヒ工科大学、ロボット訓練システムを開発

高機能なロボットの開発はコストのかかる作業だ。新たに複雑な動作を教え込もうとすればおそろしく時間がかかる。しかし適切なシミュレーション・システムがあれば、マシンを訓練する費用も時間も大きく節約できる。スイスのチューリヒ工科大学のRobotic Systemsラボはこれが可能であることを実証する論文を発表した。

Robotic Systemsのサイトによれば、犬型4脚ロボット、ANYmalを訓練できるニューラルネットワークを利用したシミュレーション・システムを開発したという。TechCrunchではANYmalが倒れても起き上がれることを紹介したが、このアルゴリズムもシミュレーションによって実現した。

このシステムでは同時に2000台のANYmalの作動をリアルタイムでシミュレーションすることができるという。つまりどんなアルゴリズムがどんな結果をもたらすか、短時間に極めて多数の可能性を調べることができるわけだ。

収集されたデータは現実のロボットのソフトウェアにフィードバックされる。Popular Scienceによれば、多くのメーカーが自動運転車を開発する際にもこうした方法を用いているといいう。

チューリヒ工科大学の研究チームは、「シミュレーションによって得られた戦略を用いることにより、われわれの4脚ロボットは転倒してどんな姿勢になっても起き上がることができる能力を獲得した。これは従来の方法では不可能だった。ANYmalシステムでは無駄なエネルギーを使わず各パーツを正確にコントロールする高度な作動コマンドが発行される。これによって走る速度もアップし、困難な姿勢に転倒しても立ち上がることができるようになった」と述べている。

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滑川海彦@Facebook Google+

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投稿者:

TechCrunch Japan

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