APIの利用状況に関するユーザーの行動のインサイトを提供するMoesifが約13億円を調達

APIファーストのサービスを提供する企業の増加を背景に、MoesifはAPIを提供する企業の顧客がAPIをどう使っているかを知る方法を開発している。

サンフランシスコに拠点を置くスタートアップのMoesifは米国時間8月23日、Craft VenturesのDavid Sacks(デビッド・サックス)氏とArra Malekzadeh(アラ・マレクザデ)氏が主導したシリーズAで1200万ドル(約13億1500万円)を調達したと発表した。2019年の350万ドル(約3億8500万円)のシードラウンドを主導したMerus Capitalも今回のラウンドに参加した。Moesifの共同創業者でCEOのDerric Gilling(デリク・ギリング)氏はTechCrunchに対し、調達金額の合計は1550万ドル(約17億円)になったと述べた。

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2017年にギリング氏とXing Wang(シン・ワング)氏がMoesifを創業し、2018年にはAlchemist Acceleratorを修了した

APIの利用状況やワークフローに関するデータを必要とする企業は、これまでSnowflake上などでその機能を自社で開発する必要があったとギリング氏はいう。この場合の問題点の1つは、誰かがレポートを見たいときにその都度処理しなくてはならないことだ。つまりチケットを送ってレポートが実行されるまで待たなくてはならない。また、利用状況に基づいて正確に顧客に請求をしたり、誰かが料金の上限を超えたときに管理したりするのが難しい。

ギリング氏は次のように補足する。「最初は当社の利用者が当社プラットフォーム上で開発をしてAPIに関するデータを引き出していました。そのうち、例えば料金の上限を超えそうなときに顧客に知らせるなど、顧客に直接サービスを提供できないかと問い合わせを受けるようになりました。そこで我々は新機能を開発し、プラットフォームのルック&フィールもカスタマイズできるようにしたのです」。

Moesifは日常的にアクセスできるセルフサービスの分析と、高い費用対効果で分析をスケールできる機能を提供する。利用者はこれを使って監視し、APIに問題が発生したときに詳しく把握できる他、利用状況に基づいて誰がどの程度の頻度でAPIを使っているか、誰がプロダクトの利用をやめる可能性があるかを知ることもできる。

Moesifの2021年の売上は前月比で20%成長し、多様なユースケースと大企業にも対応できるようになっている。ギリング氏によれば、シードラウンドの時点では分析とユーザーによる試用を始めたばかりだったという。現在ではUPS、Tomorrow.io、Symbl.ai、DeloitteなどがMoesifを利用している。

2人から始まったMoesifのチームは9人になり、ギリング氏は今回の資金でエンジニアリング、セールス、デベロッパーリレーション、カスタマーサクセスのスタッフを充実させる予定だ。

同氏はこの分野におけるソートリーダーになることにも目を向けている。またGTM戦略を推進し、APIを収益化しダッシュボードを改善する新機能を開発して、顧客の利用状況よりもサーバの健全性に力を入れていると同氏がいうところの競合他社と差別化しようとしている。

投資に付随して、Craft Venturesのマレクザデ氏がMoesifの経営陣に加わる。同氏はポートフォリオの別の企業からギリング氏を紹介され、MoesifはSaas企業に関するCraftの方針に合うと考えた。

マレクザデ氏が特に関心を持っているのは開発者向けツールで、同氏は以前にAPIを開発するスタートアップで仕事をしていたときにAPIがどう使われているか、顧客にいくら請求すればいいのかがわからず「プロダクトとエンジニアリングのチームにレポートを求めていつも手こずらせていた」と問題点を痛感していた。

マレクザデ氏がそのスタートアップで働いている頃にはMoesifはまだ存在せず、同氏の会社は自社でツールを開発しなくてはならなかったが、結局使いづらいものしかできなかった。トップクラスのエンジニアを採用しても、そういう人たちは会社の中心的なプロダクトでないツールの開発に時間を使うのを嫌がった。

マレクザデ氏は「創業者の2人は技術系ですが、ウェブサイトには優れたコンテンツが掲載されていて2人をよく知ることができました。興味深いのは2人は技術系でありながらビジネスユーザーと同じ言葉を話すことで、これがデベロッパーファーストの企業としての特徴になっています。Moesifの売上の増加にはたいへん目を引かれ、顧客の照会も輝かしいものでした」と述べた。

画像クレジット:ConceptCafe / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

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