APIをプラットフォーム化せよ

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

みなさんこんにちは!この記事が読まれるころは、私は晴天のニューオリンズを後にし、北東部のいつもの場所に戻っているだろう。そうそう、これから1週間の文章は天気の関係で憂鬱なものになりそうだ。それはともかく、今日は2つの話題があるので、早速始めよう!

APIがプラットフォームへ進化するとき

先のThe Exchangeでは、Shippo(シッポー)の創業者でCEOのLaura Behrens Wu(ローラ・ベーレンス・ウー)氏に、Shopifyとの提携発表ついて話を聞いた。

Shippoは、販売店に対してSaaSを使った出荷サービスを提供している。出荷を一括して行うことで出荷料金も安くなる。2021年には、5億ドル(約595億9000万円)弱の評価額で4500万ドル(約53億6000万円)を調達している(なお、2019年に3000万ドル[約35億8000万円]を調達した当時、ベーレンス・ウー氏は、自社の粗利率はSaaS並みだと述べていた)。

同社は急速に成長し、2020年に出荷量を倍増させ (収益の増加も緩やかにそれを追っていた)、規模も倍増させた。

前回Shippoをチェックしたのは2021年初頭だが、当時その成長を維持するためのきちんとしたプランが控えていた(強調は筆者による)。

資本金も増えて、Shippoは次にどうするのだろうか?CEOによると、スタートアップはプラットフォーム化(Shippoが組み込まれるマーケットプレイスなど)や海外展開(Shippoは国際配送を「少し」しかしていないという)への投資を強化し、自社のコア顧客基盤と考えているものへの投資を倍増させたいと考えている。

ベーレンス・ウー氏は、プラットフォームとマーケットプレイスの両方にとって、配送を提供することは今や常識であって、個々の売り手は、デジタルストアが提供されるなら、支払いサポートとともに配送のオプションも与えられることも期待するという。Shippoは、各プラットフォームに組み込まれる発送ツールになりたいと考えている。

CEOによると、約18カ月前にマーケットプレイス側から興味が示されたことで、彼女のチームはShippoのサービスを各社のマーケットプレイスに組み込めるようにするためのAPIを作ることに取り組んだ。

ベーレンス・ウー氏によれば、この取引にはレベニューシェアが含まれるが、Shopify(ショッピファイ)やその他の潜在的なパートナーから膨大な収益を得ることで、Shippoにとって良い結果に結びつく可能性があるという。なぜなら、そのサービスは量をこなすほど良くなるからだ。多くの荷物の輸送をてがけるほど、世界中の運送会社との間でより良い取引ができるようになる。そして今回、その取引総量を劇的に拡大する方法を手に入れて、おそらくeコマース出荷の世界からより多くの金銭的価値を引き出す能力を身につけることができた。

数カ月後に様子を見る必要があるが、すべてが強気であるように感じられる。

ベーレンス・ウー氏は、APIを利用するスタートアップの成長に関する私たちのレポートに注目し、連絡を取ってきたのだ。そして今、同社は全体の成長軌道のカギを握っているAPI を手に入れた。私たちの信じる命題は、SaaSはすばらしいが、将来性があるのはAPIビジネスモデルだというものだ。

インシュアテックはまだ死んでいない!

年老いた馬に鞭打つわけではないが、インシュアテックはここ数年、浮き沈みが激しかった。ネオインシュアランススタートアップの巨額の資金調達から、インシュアテックマーケットプレイスの巨額の資金調達に至るまでまで、デビュー後に価値を維持できないIPOが相次いでいる。これは大変なことだ。

だがしかし、The Exchangeは2022年に入って、この業界で最も有名な企業たちについての否定的なニュースが相次いだにもかかわらず、2021年は実際にはインシュアテック向けベンチャーキャピタルの活動は活発だったと書いた。そもそも2020年初頭には「なぜVCが保険マーケットプレイスに資金を投下するのか」を解明しようとしたほど、かつて事態は熱を帯びていたのだ。

まあ、VCは今でも続けているのだが。先週、Policygenius(ポリシージーニアス)は1億2500万ドル(約149億円円)のラウンドを終了したと発表した。同社のソフトウェアは、基本的に消費者がオンラインでさまざまな保険商品を探し、購入することを可能にする。保険市場の規模を考えれば、顧客に適切な商品を提供することは大きなビジネスだ。言ってみれば、Credit Karma(個人ファイナンス管理ソフト)がいかに役に立ったかに少し似ている。

参考までに、Policygeniusの競合であるThe Zebra(ザ・ゼブラ)は、2021年4月に1億5千万ドル(約178億8000万円)を調達しているので、Policygeniusのラウンドはまったくの驚きではない。このニュースは、公開市場のニュースがスタートアップを加速させることはあっても、消滅させることはできないという事実を浮き彫りにしている。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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