App Annieによるアプリトレンド、6つの予測

App Annie_IVS

本日から京都で開催しているインフィニティ・ベンチャーズ・サミット2015 Fall Kyoto(IVS)の最初のセッションにApp Annieの調査分析部門でシニアバイス・プレジデントを務めるDanielle Levitas氏が登壇した。アプリのデータ分析サービスを提供するApp Annieは、2016年のアプリのトレンド予測に関する最新レポートを明日発表する予定だが、今回のセッションではそれに先駆け重要なポイントをいくつか発表した。

アプリによって私たちのコミュニケーション方法や人と関わる方法が大きく変わったとLavitas氏は言う。現在、全世界では25億台のスマートフォンが使用され、毎月4万以上のアプリが世に出ている。2014年の全世界における市場規模は240億(約3兆円)ドルとなったそうだ。2015年に起きた大きな変化は、ウェアラブル端末、テレビ、AR/VRという新たなハードウェアが存在感を増したことだ。これにより、アプリはモバイルに留まらず、新たなプラットフォームを活用できるようになった。Levitas氏は合わせてOSの動向や地域ごとの特徴についても言及した。App Annieが発表したトレンド予測は次の通りだ。

tvOS:テレビの大画面にもアプリが登場し、一大市場となる
テレビが重要なのは、この業界はモバイルアプリ市場より遥かに大きいからだ。モバイルアプリ市場は先にも述べた通り全世界で240億ドル規模だが、テレビ市場はアメリカだけで、ケーブルテレビのサブスクリプションと広告も合わせると市場規模は1700億ドルに上る。テレビの大きな画面に適したアプリが登場することになれば、そこに多くの資金が流れこむこようになるだろうとLevitas氏は言う。

ウェアラブル端末ならではの使いみちと法人向けユースケース
腕に付けるタイプのウェアラブル端末は数多くあるが、それらの端末のアプリはモバイルアプリの延長のようなものが多い。メールが来たら通知するというようなアプリだ。しかし今後は、ウェアラブル端末の特長に則したアプリが開発されるだろう。例えば位置情報を活用することで、ネットワーキングのイベントなどで前々から会いたいと思っていた人が近くにいる時に知らせるアプリなどが登場するかもしれないとLevitas氏は言う。また、仕事中に両手が塞がっていても使用できるような法人向けのユースケースに対応するアプリが登場すると予測する。

VR市場の躍進
VR市場は誕生したばかりで、様々なユースケースが考えられる。その中でVRがまず訪れるのはゲーム市場だろう。ハードウェアの開発自体はOculusやSamsungなどが積極的だけれども、ゲーム市場が活発な日本がVRを牽引する可能性は多いにあるとLevitas氏は話す。

Google Now on TapでAndroid開発が重要に
2015年第3四半期のデータによると、AndroidはiOSより収益は少ないが、ダウンロード数はiOSより90%多いことが分かる。Google Now on Tap により、ユーザーは画面上で必要な情報が得られるようになる。欲しい情報を検索するまでの手間が減り、ユーザーエンゲージメントが高まる。多くのユーザーが利用するAndroidを開発する重要性が高まるだろうとLevitas氏は言う。

文化差により地域別メッセージアプリは存続する
アジアと欧米のアプリトレンドで最も違うのは、メッセージアプリの使い方だとLevitas氏は指摘する。アジアのユーザーは欧米のユーザーより長い時間メッセージアプリを使用している。さらにアジアのメッセージアプリはプラットフォームになり、タクシーを呼んだり、ゲームやサービスを探して利用できるようになった。Facebook Messengerなど欧米のメッセージアプリもそれに追随しようとしているが、プラットフォームになっているものはない。その差についてLevitas氏は、もともと欧米では目的別のサイトが台頭したため、モバイルでも同様のアプローチが取られたことを要因の1つに上げた。アジアでは、ユーザーが初めてインターネットを体験するのがモバイルであったり、最も優先して使うデバイスに位置づけられていたりすることも関連しているのではないかと話す。それぞれの地域に密着したメッセージアプリが独立して存在するようになると予想する。

YouTube Red:一般ユーザーによる良質で長いコンテンツが生まれる場所になる
Levitas氏はアプリの収益モデルが変わりつつあると指摘する。これまではアプリ内購入が主流だったが、サブスクリプションモデルが増えてきている。例えば、世界で上位10の音楽ストリーミングアプリの収益は昨年の2倍になった。YouTube RedやHBOといったOTTサービス(従来のケーブルテレビではなく、インターネットでコンテンツを配信するサービス)やデートアプリといったサブスクリプションモデルのサービスが収益を押し上げるだろう。中でも動画が普及し、今後は一般ユーザーによる長いコンテンツへの注目が高まるだろうとLevitas氏は話す。実際にYouTubeで人気のセレブによるコンテンツが若い視聴者を惹きつけているという。そしてコンテンツの製作者は一般ユーザーに移り、メディアの民主化が進んでいるとした。

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TechCrunch Japan

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