App Storeは今の社会が愚民社会である証拠

今iTunes App Storeで1位のゲームは、雑草を売るゲームだ。いや、ほんとに。でもその”Weed Firm“というアプリも、2位に比べればかなりまともだ。2位は最近多いアホらしい時間つぶしゲームの一つで、名前は”100 Balls“、ビアポンを思い出す。そしてそれに続く3位は”Toilet Time“、その名のとおり、ト*レに入っているとき遊ぶ短いゲームだ。さらにその次の”Make It Rain“は、できるだ速くスワイプしてお金を飛ばす、というゲームだ。

凡人たち(Everyman)のApp Storeにようこそ。

というか、誰かさんの言葉を借りれば、愚民社会(Idiocracy)にようこそ。

[App Storeをふつうの英語で言うとIdiocracy。]
[最悪という名のゴールを目指すレースだ。]
[映画のIdiocracyにApp Storeがあってもよかったよね。]

これらのゲームは、アメリカ的な俗悪趣味がモバイルの世界を支配していることの表れだ。でも”Here Comes Honey Boo Boo”とか”The Real Housewives”のようなコンテンツは、合衆国だけでなく、世界中の英語国で必ずチャートの上位になる。

人気の原因はいろいろあるが、いい加減なアプリデベロッパたちが仕掛けるますますいい加減なマーケティングテクニックに、釣られてしまうユーザが多いのだ。そういう、脳の健康を害しそうな使い捨てのゲームが、”Flappy Bird”や”Red Bouncing Ball“のクローンより上位になるのは、新しいアプリに飛びつくための、もっとまともな契機が、一般ユーザにはないからだ。〔TechCrunchやゲーム専門サイトのレビューを読んでアプリを買う“一般人”はいない。〕

それだけでなく、最近のアホゲームの氾濫には、App Storeの性質の変貌も影響している。

今日(こんにち)では、先進国のスマートフォン市場はほとんど飽和状態だ。ということは、老若男女いろんな人が持っており、その趣味や感性はばらばらで、しかも本誌などによく登場するテクノロジエリートたちの“次の偉大なるモバイルアプリ”とは無縁な領域で生きている。

App Storeは万人(everyone)のものであり、そして万人の大群は、タブロイド新聞やテレビのリアリティ番組は好きでも、文学や教育テレビには寄り付かない。

しかも、今ではガキどもですらiPhoneを持っていて、それを持ってないと仲間はずれになるというのだ。アホゲームの顧客の相当部分が、ガキどもである。

“Flappy Bird”を作ったDong Nguyenも本誌の取材に対して、プレーヤーのほとんどは学童だ、と言っていた。

このような“成熟市場”においては、雑草ゲームやト*レ時間つぶしゲームへと“成熟して”いく万人たちは、昔のような、まじめなアプリをまじめにダウンロードするスマートフォンユーザではない。だから今では、Google Search、Pandora、WhatsApp、Pinterest、Twitterなどのアプリが、トップ10に入らないどころか、往々にしてトップ20にも入らないのだ。

校庭にたむろする群衆たちがApp Storeのチャートに与える影響力を、まだ業界はよく理解していない。小学生のトレンドが市場に及ぼす力は、何年も前から強力だが、今日ではそれは、お人形のCabbage Patch KidsやTickle Me Elmoの話ではない。次に何を買おうかと彼らがうろうろしている仮想ストアの棚を、無限に多い在庫で満たす、という今日的マーケティングのお話なのだ。

しかし最悪という名のゴールを目指すApp Storeのレースを、幼いiPhoneユーザのせいだけにはできない。

今日の、ストレス過多で情報過剰な世界に住む、緊張を抜く余裕すらない大人たちも、ちょっとした息抜きを求めているのだ。そう、トイレが唯一の息抜きの場かもしれない。そしてそのために、まさに、アホなゲームにのめり込むのだ。

ところで、あなたのホーム画面には、最近、何があるかなぁ? 正直に言って。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))