Appleがアプリ開発支援サービスBuddybuildを買収、デベロッパー環境の一層の充実へ

【抄訳】
Appleは、同社プラットホームのためのアプリの制作と改良過程をより容易にするためのデベロッパーへの奉仕努力を、継続的に強化している。この、iPhoneを抱える巨大企業が、今度はバンクーバーに拠を置くアプリツールの開発企業Buddybuildを買収した。“モバイルのイテレーションプラットホーム”を自称するBuddybuildは、継続的インテグレーションとデバッグのためのツールが主製品で、それらによりアプリの開発チームに、シンプルなワークフローによるイテレーションと、GitHubやBitBucket, GitLabなどによるグローバルなコラボレーションを可能にする。

Appleは本誌TechCrunchに対してこの買収を確認し、またBuddybuildは今日(米国時間1/2)の午後同社のブログで発表した。

買収の財務的条件は公開されていない。Appleによると、現在約40名のエンジニアチームはそのままバンクーバーに残る。このことをBuddybuildは、“カナダの企業であり続けることを誇りに思う”、と自画自賛している。

今回の買収により、BuddybuildはAppleのiOS, macOS, watchOS, tvOS用開発ツールXcodeに統合される。ただしその具体的なタイムラインは、両社ともに明らかにしていない。

既存の顧客はBuddybuildのサービスを同社のサイト上のスタンドアロンのプロダクトとして利用継続できるが、新規の顧客は今日から同ポータル上で受け付けられない。

また今回の買収によって、Buddybuildが昨年2月に加えた、Androidアプリ開発のサポートは終了する。その正式終了は、3月である。Appleは、TestFlightを買収したときもAndroidの互換性を中断し、Googleのエコシステムから継承していた重要な開発ツールを実質的に取り去った。

BuddybuildのシステムはAppleの既存のツール集合に、モバイルアプリのプロプライエタリなチャネルからの試験、デバッグ、およびデプロイのための方法を加えることになる。

さらに加えて、iOSのための開発とイテレーションが、前よりもずっと容易になるだろう。

マーケットシェアではAndroidに負けているiPhoneも、アプリの売上では勝っている。App Annieによると、2017Q3のモバイルアプリの(中国を除く)グローバルな売上は170億ドルだが、そのうちの約110億ドルをAppleが占める。

ただしアプリのダウンロード総数ではGoogleに負けているので、Appleとしては、もっとデベロッパーフレンドリーな開発環境を充実整備していく必要性を痛感しているだろう。

【中略】

Buddybuildは2015年に元Amazon社員Dennis PilarinosとChristopher Stottが創業した。同社はその後3年間でおよそ880万ドルを調達し、その中にはKleiner Perkins Caufieldがリードした2016年のシリーズA 760万ドルも含まれる。

FlickrとSlackを創ったことで有名なStewart ButterfieldがしばらくBuddybuildのアドバイザーだったし、Slackは同社の著名な顧客のひとつだ。ほかにもMozilla, Hootsuite, Reddit, SoundCloud, FourSquare, The New York Timesなどの著名企業が同社の顧客リストに名を連ねる。

Buddybuildは同社のブログ記事で、バンクーバーは今やソフトウェア開発の温床であり、今回のAppleからの新たなキャッシュにより、成長のための人材確保もやりやすくなった、と言っている。

この記事は本誌ライターIngrid Lundenとの共作である。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。