Apple Musicでのストリーミング売上詳細をアーティストへの手紙に記載、やはり中堅や独立系たちには厳しい

ストリーミング収入はミュージシャンにとって長年の懸案事項であり、特にレコード会社が業界全体で崩壊したことにより何とか生活しているミュージシャンにとって、大きな問題だった。もちろんツアーが不可能になった2021年は、多くのミュージシャンにとって主要な収入源が完全に絶たれたため、こうした問題を浮き彫りになった。

Apple(アップル)はアーティストに送ったレターの中で、ストリーミング売上げに関する主要な疑問の一部を明らかにしたいと考えている。The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)が報じたこのメモには、Spotify(スポティファイ)が支払う金額の約2倍に相当する売上高の概要が記されている。

「ストリーミングのロイヤリティについての議論が続く中、私たちは価値観を共有することが重要だと考えています」と、Appleは述べている。「私たちは、すべてのクリエイターに同じ料金を支払うこと、1回の再生には価値があること、そしてクリエイターはそのサービス上の最高のディスプレイスペースで音楽をフィーチャーするために料金を支払うべきではないことを信じています」。

Appleのコメントは、Spotifyのはるかに多様な支払いモデルを明確に指摘している。しかし、それが実際にどのくらいの金額になるのかはもう少し複雑な問題だ。Spotifyの支払いモデルは、最初は1ストリームあたり1ペニー(1円)程度だった(さらに下がることもある) 。この金額はレコード会社であれ出版社であれ、権利者に支払われる。この問題は、2021年に多くのミュージシャンが仲介業者の存在意義に疑問を持つようになった、一連の問題のうちの1つだ。

SpotifyのDaniel Ek(ダニエル・エク)CEOは2020年のインタビューで「3〜4年に1度も音楽をリリースせず、それで十分だと考えているような過去に成功を収めたアーティストは、将来はうまくいかない人もいるかもしれません」と述べ、この騒動を煽った。

結局のところ、多くのアーティストにとっては小銭、あるいはさらに小さな金額の奪い合いの戦いだ。そして、世界がストリーミングモデルに移行した現在、中堅や真の独立系アーティストたちが生活を維持するのは非常に難しくなっている。BandcampやSoundcloudのようなサービスは、小規模なアーティストがより管理しやすいように努力してきたが、現代のミュージシャンの生活は、特に新型コロナウイルス(COVID-19)の時代では依然として苦しいままだ。

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

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TechCrunch Japan

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