Apple Pay、ミュージックフェスでの飲み物‘事前オーダー’をテスト中

コンサートで最悪なことの一つを、Appleが何とかしようとしている。その最悪なことというのは、ビールを買おうと列に並んでいる間にお気に入りの曲を聞き逃すことだ。先週サンフランシスコの近くで開催されたBottleRockミュージックフェスティバルで、“order ahead with Apple Pay(Apple Payを使った事前オーダー)”が初めて試された。Appleはこの事前オーダーをさらにいくつかのイベントでも展開しようとしている。このサービスを使うには、まずフェスティバルのアプリを立ち上げ、最寄りの売店をタップして飲み物を選ぶ。顔認証か指紋認証を使ってApple Payで支払いをし、売店の専用窓口で待つことなくピックアップするという流れだ。

Appleの本社から100マイルも離れたところで開催された、ワインとオールディーズを楽しむBottleRockフェスが、このサービスの試験台に選ばれた。昨年は、全ての売店にSquareのApple Pay支払いシステムが用意され、現金やクレジットカードではなくApple Payで払う人専用のファストレーンが設けられた。Appleの広報によると、BottleRockでの支払いの30%がApple Payを使って行われ、これにより人々は早くステージ鑑賞に戻ることができた。

今回の事前オーダーでは、飲み物は用意されているので、ダンスする足を止める必要はない。僕はCoachellasフェスに14回行ったことがあるが、友達を見失いそうになったり、イライラしながらビアガーデンの列で並んでいる間にヒットソングを聞いたりという事態を避けるためには、先にアルコールを確保しておくべき、ということを学んだ。しかし今回、Apple Payのおかげでベストなコンサートでの飲み物購入体験となった。すごく便利で、先週、飲み物を何回も購入したのは僕だけではないだろう。

だからこそ、僕は今後ミュージックフェスがApple Payを使った事前オーダーを取り入れるチャンスに飛びつくと思っている。そうすればミュージックフェスとベンダーは売り上げをさらに伸ばせるし、利用者はより音楽を楽しめる。一方で、これはAppleにとっても多くの人にサービスを提供するいいチャンスとなる。Apple Payは特に急いでいるときに便利だが、フェスティバルに行く人は日常でも頻繁に使うようになるだろう。

ミュージックフェスでよく使われるテックとしては、友達を見つけるアプリや、位置情報に基づいたアラートなどがあるが、それらは時として大事な瞬間を台無しにすることもある。そうした点で、Apple Payは必要な時以外はユーザーの邪魔をしない優れたものといえそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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