Apple Watchが心房細動以外の不整脈も検出できることを示す新たな研究結果

スタンフォード大学とAppleが2017年に実施した「Apple Heart Study」では、40万人を超える被験者の登録に成功し、この種の研究としては過去に実施された中でも最も大規模なものの1つとなった。継続的な研究により、Apple Watchは心房細動(AF)に加えて、その他の不整脈も検出できることが明らかになっている。Apple Watchは現在、心電図(ECG)センサーを追加したSeries 4アップデートにより、心房細動の検出と通知の機能をコアヘルス機能の1つとして提供している。

Apple Heart Studyの結果は、この機能の背後にある科学的根拠を証明している。Apple自身は、非常に正確な予測や実際の医療機器ではなく、自分の健康や心臓の健康に影響を与える可能性のある状態をより認識するための方法だと位置づけている。しかし何年も前からApple Watchユーザーの中には、心房細動の通知機能と医師によるフォローアップのおかげで無症状の問題を早期に発見できたという話が数多く確認されている。

今回のHeart Studyの追加調査では、収集したデータをさらに掘り下げ、Apple Watchから不整脈の可能性に関する通知を受けたものの、医療用心電図によるフォローアップ検査でAFが検出されなかった参加者の40%に、他の不整脈が存在していたことがわかった。これらの不整脈には、早発性心室複合体、非持続性心室頻拍などがある。これらの不整脈はごく一般的なもので、経験者の間では動悸として認識されることが多いが、特に早発性複合体は他の基礎疾患の指標となる可能性がある。

米国心臓協会の「Circulation Journal」に掲載された今回の研究では、通知を受けた後に心電図パッチを使って心房細動が検出されなかった参加者の約3分の1が、Apple Heart Study終了時には実際に心房細動と診断されていたことも判明した。これは、これまでの研究で示されたよりも、Apple製ウェアラブルデバイスの有効性が高いことを示唆している。

新世代のApple Watchに導入される新しいセンサーや技術的機能の可能性については、常にさまざまな憶測が飛び交っているが、Apple Heart StudyやApple Heart and Movement Studyといった大規模な研究から、既存のハードウェアやセンサーを利用した新機能への道筋が見えてきている。他の心臓の不整脈を検出するというApple Watchの有望な結果は、将来、より多くの「ヘルスケア」機能を生み出すかもしれない。

画像クレジット:Apple

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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