Apple Watchに検知した手の動きで操作する「AssistiveTouch」機能が追加

Apple Watchの小さな画面を正確にタップすることには、ある種の根本的な難しさがある。障がいのある人には、純粋に不可能な場合もある。その対策として、Apple(アップル)は、手のジェスチャを検出してカーソルを制御し、画面の操作を行うことができる「AssistiveTouch(アシスティブタッチ)」という新モードを導入すると発表した。

この機能は、アップルの製品群におけるアクセシビリティに重点を置いた改良の一環として発表されたが、中でもApple Watch用のAssistiveTouchは、ユーザー層全体に大評判となる可能性が高いと思われる。

AssistiveTouchは、Apple Watchに内蔵されたジャイロスコープと加速度センサー、そして心拍センサーからのデータを利用して、手首と手の位置を推定する。ピースサインとメロイックサインの区別はまだできないものの、今のところ「ピンチ」(人差し指と親指を接触させる)と「クレンチ」(ゆるく拳を握る)を検知して、基本的な「次へ」や「確認」の操作を行うことができる。例えば、電話がかかって来た時、拳を握りしめればすぐに受けることができる。

だが、最も印象的なのは「Motion Pointer(モーション・ポインター)」と呼ばれる機能だ。これは、AssistiveTouchメニューで選択するか、手首を大きく振ると起動する。すると、画面にポインターが現れる。手を動すとその動きを検出して、ポインターを画面上で動すことができるので、画面の端に持っていって「スワイプ」したり、ピンチやクレンチして操作することが可能になる。

いうまでもなく、これは時計を操作するのに片手しか使えない人にとって非常に役に立つ機能ではあるが、どうしても必要としているわけではない人にとっても、例えばエクササイズマシンや杖などに片手を添えたまま、スマートウォッチを操作できるというのは、きっと便利であるに違いない(この操作方法は、他のプラットフォームでも使えるのではないだろうかと考えずにいられない……)。

画像クレジット:Apple

Apple WatchのAssistiveTouchは、アップルが今回のニュースリリースで発表した数多くのアクセシビリティに関するアップデートの1つに過ぎない。他にも以下のようなものがある。

  • Apple Storeでの接客やサポートで利用できる手話通訳付きビデオ通話「SignTime(サインタイム)」
  • 「Made for iPhone」認証アクセサリに新たに加わる補聴器のサポート
  • VoiceOver(スクリーンリーダー)を使った画像説明機能の向上
  • 集中したり落ち着くために役立つ「background sounds(背景音)」発生機能(私はこれを使うつもりだ)。
  • 一部のボタンやスイッチの働きを、口で発する言葉ではない音(「ポップ」や「イー」など)で代用できるSound Actions for Switch Control(言葉や動きが不自由な人のための機能)
  • 酸素チューブ、人工内耳、ソフトヘルメットを装着している人のためのMemojiのカスタマイズ機能
  • App Store、Apple TV、Apple Books、Apple Maps(「マップ」アプリ)で、障がいのある人向けのアプリや作品、有益な情報などを紹介。

これらはすべて、5月20日の「Global Accessibility Awareness Day(グローバル・アクセシビリティ・アウェアネス・デイ)」に合わせて発表されたものだ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleApple Watchアクセシビリティ

画像クレジット:Apple

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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