Arcがソフトウェア開発者向けにリモートキャリアプラットフォームを公開

COVID-19の大流行により、リモートワークが注目されるようになったが、ハイテク企業は人材不足に対応するために、すでに何年も前から遠隔地での採用を行ってきた。Arc(アーク)は台湾時間4月28日、そのリモート採用プラットフォームをすべてのソフトウェア開発者に開放することを発表した。これまでのArcは、認定プロセスを通過した開発者のみに公開されていた。開発者は、他の応募者に対して差をつけるために、引き続き認定を受けることができるが、Arcの求人データベースと検索エンジンは誰でも利用できるようになった。

Arcは、ソフトウェア開発者向けのオンライン教育プラットフォームであるCodementor(コードメンター)のチームが2年前に立ち上げた企業だ。その創業以来Arcは、Spotify(スポティファイ)、Hims(ヒムズ)、Hubspot(ハブスポット)、FiveStars(ファイブスター)といった企業の採用に使われてきた。その投資家には、Techstars、500 Startups、WI Harper、Y Combinatorなどがいる。

創業者で最高経営責任者のWeiting Liu(ワイティン・リュー)氏は、TechCrunchの取材に対し、「私たちは開発者の皆さまにに与えたインパクトを誇りに思うと同時に、そのインパクトをさらに大きなものにしていきたいと考えています」と語った。

新バージョンのArcは、2つの機能を中心にしている。スマートなリモートジョブ検索エンジンと開発者コミュニティだ。Arcは、求人情報サイトなどをクロールしてそのデータベースを構築しており、これまでに1万3000社から、5万4000件の開発者募集情報を集約している。そして、その検索エンジンは、リモートワークの検索に伴う課題を取り除いている。

リュー氏は「たとえば、よく聞かれる不満は、多くの仕事がリモートでありながら、応募が米国内に限定されているということです。あるいは、パンデミックが終わるまでの限定リモート勤務だったりすることです」という。「これに対して、私たちのアルゴリズムが、応募者の状況に応じて最善を尽くします。例えば、アジアや東欧を拠点とする開発者の場合、タイムゾーンによっては残念ながら応募できない求人もあります。ということで、これらの制約を考慮し、応募者の経験や技術的な強みを考慮して、最も関連性の高い仕事を推薦いたします」。

Arcコミュニティは、リモートワークに慣れていないソフトウェア開発者や、海外での仕事のやり方を知りたい人のためのリソースだ。リュー氏は「たとえば米国を拠点とする雇用主のためには私の履歴書はこのフォーマットでなければならないのかとか、使用するツールの種類や文化的規範はどうなっているのか、といった質問があるかもしれません」と語る。「アメリカの会社でポジションを探していらっしゃる方ならなら、一般的な面接のやり方や、どれくらいの会社がSlack(スラック)を使っているのかといった基本的な仕事の慣行についてもお話ししたいでしょう。そこでコミュニティの出番となるわけですが、すでにリモートで仕事をしている開発者が、ご自身の経験を共有できるようにしたいと考えています」。

そして現在はオプションとなっているものの、Arcでは引き続き認定プロセスを推奨している。認定には通常1週間程度かかり、コーディングチャレンジや、Arcのチームメンバーを相手にした行動/技術面接などが行われる。仮に合格しなくても、改善を要する点をフィードバックしてもらい、半年後に再応募することができる。認定と求人検索は無料で、Arcはプラットフォームを通じて採用を行う企業に課金することで収益を得ている。

Arcの開発者認定プロセスのステップ

コミュニティに加えて、Arcは先日Elevate(エレベート)というプログラムを開始した。リュー氏自身がY CombinatorやTechstarsで受けた経験から着想を得たElevateは、リモートワークに移行したい開発者のための「短期人材アクセラレータ」という位置付けだ。プログラムの第1回目には、ラテンアメリカから13名の開発者が参加したが、今後は10名から20名の規模で開催される予定だ。このプログラムには、キャリア準備のためのワークショップ、面接練習、そしてGitLab(ギットラブ)、Zapier(ザピアー)、Dialpad(ダイアルパッド)で働く開発者によるライブメンターシップセッションが含まれている。

現在Arcは、SECの新しい株式クラウドファンディングの規制施行後に、クラウドファンディングキャンペーンを始めていて、これまでに約95万ドル(約1億円)を調達している。

「これは、アクセスを民主化したいという私たちのビジョンと一致しています。もしArcをコミュニティが一部所有するリモートジョブプラットフォームにすることができたなら、非常に興味深いものになりでしょう。私たちは世界最大のリモートジョブサイトになることを目指していますので、もしコミュニティのメンバーの皆さんをプラットフォームの投資家/オーナーにすることができれば、私たちのミッションをより早く実現することができるからです」とリュー氏はいう。

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画像クレジット:Arc
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(文:Catherine Shu、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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