Argo AIがカリフォルニア州で自動運転車に一般客を乗せる許可を取得

Ford(フォード)とVW(フォルクスワーゲン)が投資する自動運転車技術のスタートアップであるArgo AI(アルゴAI)は、カリフォルニア州の公道で同社の自動運転車に人々を無料で乗せることができる許可証を取得した。

承認された申請書によると、カリフォルニア公益事業委員会(CPUC)は7月初め、いわゆる運転手付き自動運転車の試験許可証を発行した。米国時間7月30日に同委員会のウェブサイトに掲載された。ArgoとFordはその1週間前、マイアミとオースティンを皮切りに、今後5年間で多くの都市でLyft(リフト)の配車ネットワークに少なくとも1000台の自動運転車を投入する計画を発表していた。

この許可は、州の自動運転車乗客サービス試験の一環だ。Argoは従来の自動運転車試験を超えて拡大を目指す少数の企業グループの一員となった。この動きは、業界、あるいは少なくとも一部の企業が商業運転に向けて準備を進めていることを示している。Argoは、2019年からパロアルト周辺でフォード車を使って自動運転技術の試験を行っている。同社は現在、カリフォルニア州で約12台の自動運転試験車両を有する。また、マイアミ、オースティン、ワシントンDC、ピッツバーグ、デトロイトでも自動運転試験車両を保有している。

Aurora、AutoX、Cruise、Deeproute、Pony.ai、Voyage、Zoox、Waymoが、CPUCの運転手付き自動運転車乗客試験プログラムへの参加許可を得た。このプログラムでは、人間の安全管理者がハンドルを握ることが義務付けられている。この許可を得た企業が乗車料金を請求することはできない。

Cruiseは、CPUCから運転手なし許可証を取得した唯一の企業だ。この許可証があれば、人間の安全管理者がハンドルを握らなくても試験車両で乗客を送迎できる。

CPUCの運転手付き許可証を取得することは、カリフォルニア州における商業化への道のりの一部にすぎない。同州は、CPUCとカリフォルニア州自動車局(DMW)の規制のハードルを越えることを求めている。それぞれの機関は独自の段階的な許可制度を設けている。人間が運転しないロボタクシーの乗車料金を徴収する前に両機関の規制のハードルを越えなければならない。

DMVは、自動運転車の公道試験を規制し、許可証を発行している。DMWが発行する許可証には3つのレベルがある。まず1つ目は、安全管理者が運転する自動運転車の公道試験を許可するもの。60社以上がこの基本的な試験許可を取得した。

次の許可証で運転手なしの試験を行うことができ、その後、商業運転を行うための展開許可証が発行される。人間の管理者がハンドルを握らない運転手なし試験許可証が新たなマイルストーンであり、州内で商用のロボタクシーや配送サービスを開始しようとする企業にとって必須のステップだ。AutoX、Baidu、Cruise、Nuro、Pony.ai、Waymo、WeRide、Zooxは、DMVから運転手なし許可証を取得した。

DMVでの最後のステップは、Nuroだけが達成している展開許可だ。この許可によりNuroは商業規模で展開している。Nuroの車両は乗客を乗せず、貨物だけを積載できるため、CPUCの許可プロセスを回避することができる。

一方、CPUCは2018年5月、自動運転車で乗客を輸送するための2つの試験プログラムを認可した。Argoが許可を獲得したばかりの運転手付き自動運転車乗客サービス試験プログラムは、企業が特定のルールに従う限り、自動運転車による配車サービスの運営を認めるものだ。乗車料金の請求はできず、人間の安全運転手による運転が必要で、一定のデータを四半期ごとに報告しなければならない。

CPUCの2つ目の試験では、運転手なしの乗客サービスが可能で、Cruiseが2021年6月に獲得した

このように、商用のロボタクシーを実現するためには、DMVとCPUCからの許可をすべて取得する必要がある。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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