ASMRビデオの専門サイトTingles、無宣伝で急成長、YouTubeの限界に挑む

Tinglesは宣伝やパブリシティをほとんどやっていないが、すでに多数のファンとそのコミュニティができている。ターゲットを絞った特殊なプロダクトが、これだけ急速に広まるなんて、めったにないすごいことだ。

スロベニアのGasper KolencとMiha Mlakarがこのサービスを立ち上げてからほぼ1年になるが、その間同社はもっぱらASMRだけを取り上げてきた。ASMR(autonomous sensory meridian response)とは、音や映像だけで幸福感やリラックス感を与える、という意味だが、そんなビデオを提供する同社は、最近Y Combinatorの傘下になったので、今後さらに大きく伸びるかもしれない。

同社のCPOであるMlakarはこう語る: “アーチストやコミュニティのためのサービスを構築する最良の方法を探している。すでにたくさんのアーチストやコミュニティと、仲良くなっている。いろんな機能はすべて、コミュニティからのアイデアがベースだ。それらを全部実装していくためには、もっと時間が欲しい”。

宣伝をまったくしなかった同社は、現在の月間アクティブユーザー数が6万、その1/3は毎日使っている。サイトのコンテンツは、200名あまりの“アーチスト”たちの作品だ。ASMRのコミュニティでは、アーチストよりも“ASMRティスト”と呼ばれている。その多くは、脱YouTubeの人たちだ。

ネット上にASMRが増えてきたその震源地は、もちろんGoogleのビデオサービスYouTubeだ。MlakarがASMRを知ったのもYouTubeからだが、YouTubeのような何でもありのビデオサイトには限界がある、と彼は言う。

“YouTubeは、発見のためには良い”、とMlakarは言う。“ぼくがASMRを発見したのもYouTubeだ。でもレギュラーユーザーになると、YouTubeは問題になる。主な問題は、広告だ。ASMRを聴いてて眠くなり、実際に眠りかけたとき、大音量の広告に起こされる。それは、とても不愉快だ”。

高度に専門化したサービスは、収益化に関しても有利だ。このサービスは広告なしで、しかも無料だが、クリエイターが同社の承諾のもとに有料コンテンツを作り、チップなどを収入源にすることができる。クリエイターに対しては、そのための審査過程があり、承認プロセスがある。それにビデオは同社が監視し、悪質なものは排除する。しかし、同社や多くのASMRファンが指摘するのは、性的なコンテンツが問題になることはない、ということだ。“エロのチャネルはほかにいくらでもあるからね”、とMlakarは述べる。

しかしTinglesにとっては、ASMRは手始めにすぎない。Mlakarによると、AndroidやiOSのアプリは、“リラックスして安眠できるビデオコンテンツを見つけるための最良の場所”だが、同社の将来プランとしては、瞑想やマインドフルネス(“気づき”)など、そのほかのリラクセーション法も取り上げていきたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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