Atlassianがオンプレミスのサーバーライセンス販売終了、エンタープライズ向けの新料金体系を追加

Atlassianは以前より、すべてをクラウドにすると明言してきたが、今やそれが公式のものとなった。同社は米国時間2月3日から、オンプレミスのサーバーライセンス販売を停止する。おそらく、これによる組織の大きな痛みを緩和するために同社は2月2日、新たに何でもありのエンタープライズ料金プランを発表した。

Atlassianの最高収入責任者であるCameron Deatsch(キャメロン・ディーチ)氏によると、以前は無料プランを提供し、次にスタンダードとプレミアムの有料プランを提供してきたという。「これからはクラウドのEnterprise Editionが弊社の最高プランになります。より複雑なデプロイメントと、無制限の拡張性を必要とする最大規模のお客様、あらゆるセキュリティおよび規制要件を抱えたお客様、データ常駐サービスなどが可能になります。これが、本日開始するサービスです」とディーチ氏はいう。

エンタープライズティアが提供するのは、エンタープライズ顧客ごとに、Atlassianの全プロダクトラインを横断する無制限のインスタンスとなる。たとえば複数の事業部のある大企業は、各事業部ごとにデプロイしたJiraとConfluenceのインスタンスをそれぞれ20個、そして中央管理コンソールを配置することができる。

同社は2024年までオンプレミスの既存サーバー顧客をサポートしていたが、今ではクラウドに移行しようと考えており、このサービスが役に立つはずだ。明らかになったことの1つは、このパンデミックによって、あらゆる規模の企業がクラウドへの移行を加速させていることだ。これによって、同社最大の顧客が移行を促進するはずだ。

「実際のところ、需要は以前からあることははっきりわかっていました。しかし私たちの最大の顧客が抱える巨大なパイプラインが目の前にある以上、クラウドへの移行は今後2年ぐらいかけて計画を練る必要があります。私たちのEnterprise Editionの一般的な可用性が確立すれば、それをさらに加速できるでしょう」とディーチ氏は説明する。

これは同社が以前から進めてきた移行だが、そのかたちが実際に見えてきたのはオペレーションをAWSにシフトして、2016年から全スタックをマイクロサービスの集合へと再構築してからだ。エンタープライズティアが必要とするワークロードの増加に対応できるための、それが最初のステップだった。

2021年1月末に発表された同社の決算報告は、売上が5億140万ドル(約526億8000万円)で前年比23%の増、新規登録会員1万1000社以上となり、同社の新記録となった。新しいエンタープライズティアは顧客増には寄与しないが、より多くの顧客がクラウドのソリューションと、ニーズにマッチした料金体系を求めるにともない、全体的な売上には貢献するはずだ。

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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