AWS CloudWatchにユーザーモニタリングとA/Bテスト機能追加

2009年に導入されたAmazon CloudWatchは、AWSの顧客が自分のクラウドの利用状況や、それに対する支出をモニタできるツールだ。ラスベガスで行われているクラウドの顧客のためのAWS re:Inventカンファレンスで同社は、このプロダクトの2つの強化機能を発表した。

Amazonは、CloudWatchが提供するデータのタイプを徐々に増やしてきた。そして米国時間11月29日、ユーザーのモニタリングを追加された。そのReal User Monitoring(RUM)機能でAWSの顧客は、いつデプロイの問題が起きるのかを理解し、顧客が実際にそれを感じる前に修正行為を行なう。

AmazonのJeff Bar(ジェフ・バー)氏はブログで次のように述べている。「Amazon CloudWatchのRUMは、この体験を見つけて理解し改善するためのインサイトを与えるメトリクスを、あなたが集めるのを助けます。自分のアプリケーションを登録し、JavaScriptのコード片を各ページのヘッダーに加えてデプロイするだけです」。

これは驚異的なイノベーションとは言い難く、AppDynamicsやNew Relicなどが何年も前からやっていたことだ。しかし、Amazonの提供物の多くに倣ってこれらもAWSの内部の顧客にフルコースの体験を提供し、特にこのようなモニタリングは、ユーザーのAWSアプリケーションがおかしくなりそうなときに、そのことを教える。

もう1つの新機能は、CloudWatch Evidentlyと呼ばれる新しい体験ツールで、デベロッパーがこの機能のフラグを立てると、AWS上で構築中のアプリケーションの中でA/Bテストができるようになる。ユーザー全員にアプリケーションのアップデートを一斉に提供するのではなく、一部のユーザーを対象にしてアップデートをテストし、ユーザーがこの新しいアプローチやデザインを選ぶと何か問題が起きないか、むしろデベロッパーは前もって知りたいだろう。

新しい機能を経験する人びとの数を制限するためには、コード中のフラグを立て、この機能のためのパラメータをセットする。しかもこの機能では、実験のもう1つの形式としてA/Bテストができる。これもやはりごく一部のユーザーに対してアプリケーションの機能をテストし、どの機能やデザインが気に入られたかを知ることができる。

これらのどれも新しいものではない。Split.ioなどはいろいろな機能フラグを管理できたし、またOptimizelyなどは、A/Bテストの高機能バージョンを開発した。

CloudWatch EvidentlyはすでにAmazonの9つのクラウドリージョンで。従量制の課金により利用できる。CloudWatch RUMは、集めるイベント10万件につき1ドル(約113円)で、10のリージョンで利用できる。

画像クレジット:SOPA Images/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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