B2Bの食配サービス、その理想像のひとつをEAT Clubに学ぶ

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1か月前にEAT Clubという企業からPR素材が送られてきたのだけど、正直、それまでの私はこの会社の存在すら知らなかった。そして同社は、資料を送ってくれたPRの人たちにありがとうと言いたいぐらい、学ぶところの多い企業だ。

2010年に創業したEAT Clubは3年ほど前に、消費者企業から企業対象の食配ケータリングに方向転換した。というかEAT Clubのお客は最初から、オフィスで働く会社員なのだが、最初同社は、彼ら個人に直接売っていた。だから一応、“消費者企業”だ。そして3年前に、売る対象を個人からその社員のいる企業に切り替えたのだ。CEO Frank Hanの言葉を借りれば、2013年の秋にEAT Clubは、B2Cのフードビジネスは難しい、と悟った。

今のEAT Clubは、NetflixやTesla、DogVacay(ドッグシッター)、Atlassian、Samsungなどの企業が顧客だ。今EAT Clubが食配している顧客企業は常時700社あまり、今でも売上は急速に増えていて、利益率も良く、個人レベルのリピート率も86%と高い。

EAT Clubの、一人の配送員の一回のデリバリサイズは平均300ドルで、これはB2CのSprigやPostmates、DoorDashなどのおよそ10倍だ。2013年から利益が出ていて、今、一食の貢献利益率は25%だ。貢献利益とはこの場合、売上額から製造コストとデリバリコストを引いた額で、そこからさらに社員の給与などが出て行く。

社員といえば、EAT Clubでは配送員も契約社員などでなく正社員だ。EAT Clubは創業時から、配送のスケジュール厳守と、社員への教育訓練の徹底をモットーにしていた。

“それは、契約社員ではできないからね”、とHanは言う。“誰でもいいから仕事をしたい人が来てくれればいい、とは思わないよ”。

これまで1650万ドルの資金を調達しているEAT Clubは、売上の96%がリピート顧客からだが、売上高は公表していない。しかしHanによると、年商は2500万ドル+αで、今でも急速に成長している。4年前に創業したコンペティタのZeroCaterは、この夏の雑誌記事で年商は1億ドルあまりと言っている〔事業形態がEAT Clubとは相当違う〕。おなじくコンペティタのCater2MeとZestyは、年商額が数千万ドルのオーダーだそうだ。

EAT Clubの今のテリトリはサンフランシスコとパロアルトとサンホセとロサンゼルス。企業は社員福祉の一環として、EAT Clubのお弁当を社員に提供する。企業はEAT Clubに、社員一人あたり100ドルを前払いしてもよいし、あるいは代金を毎週払ってもよい。次の12か月の同社の目標は、企業顧客をもっと増やすことと、市場の拡大だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

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TechCrunch Japan

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