BaaSプラットフォーム運営のHIFが約16億円を調達、AI与信審査システム開発などを進める

HIFが資金調達を実施(画像は同社HPより)

BaaSプラットフォーム「Fimple Platform」を開発・運営するH.I.F.は2月26日、エレメンツキャピタルリサーチなどを引受先とする第三者割当増資で15億9000万円のシリーズBラウンド資金調達を完了したと発表した。今回の資金調達は新たなAI与信審査システムの開発などに充てる。HIFはAI与信審査事業を核としたBaaSプラットフォーム事業の強化を図っていく。

2017年11月に設立されたH.I.F.は、主に信用保証業・決済代行業・銀行代理業を行うBaaS(Banking as a Service)プラットフォーム企業だ。売掛金まで保証する企業間決済サービス「Fimple決済」や売掛金を保証する「Fimple保証」を展開している。今回の資金調達で、H.I.F.の累計調達額は74億3000万円(エクイティ・デット含む)となった。

H.I.F.は創業以来、「Fimple決済」で買い取った債権約1万5700件のうち、デフォルトとなったのは19件、デフォルト率約0.12%と極めて低いデフォルト率を維持しているという。

デフォルト率が低いことが売り

H.I.F.は低いデフォルト率を実現するため、一般的に行われている決算書などによる定量審査に加えて、SNSの情報などを活用したH.I.F.独自の定性審査を行っている。

これらの知見に加え、AIを活用することで、与信審査の精度や再現性・迅速性を向上させている。今回の調達資金による資金使途については、同AI与信審査システムの開発に多くを投入し、「Fimple Platform」上に展開していく狙いがある。

また、SPC(特定目的会社)を活用したリスクオフファンドスキームの導入を進めていく。これまで債権の買い取りについてはH.I.F.が調達した資金を元にしていたが、同社の調達力が債権買い取りの上限となり、迅速な事業拡大が困難になるという問題があった。

SPCを活用したリスクオフファンドスキームのイメージ

H.I.F.がすべてのデフォルトリスクを負うかたちとなっており、負担可能リスクも事業規模の上限を決める要因になっていたため、SPCを活用して同事業に投資する投資家を募ってファンドを設立することとした。リスクを分散することで成長スピードをさらに向上させていく方向だ。

このほか、事業展開におけるリスクを適切に管理するためにリスク管理委員会を設置する。エレメンツキャピタルリサーチ代表の林田貴士氏を顧問に迎え、リスク管理委員会を設立した。同委員会によって定期的に事業リスクの評価や管理を行っていく。

カテゴリー:フィンテック
タグ:HIF資金調達日本

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TechCrunch Japan

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