BMWがレトロフューチャーな電動スクーター「CE 04」をついに生産開始、しかし132万円で買う人はいるのか?

BMW(ビー・エム・ダブリュー)の電動シティースクーターの話は何年も前から聞いている。電動キックスクーターのことではないので念のため。ドイツの自動車メーカーは2017年にBMW Motorrad Concept Linkという未来の高級マイクロモビリティを思わせるコンセプトバイクを発表した。2020年11月に最新のコンセプトスクーター「CE 04」を披露したBMWは、このほど本格的な生産に入った。

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現地時間7月7日、同社は2022年ラインアップにCE 04が正式に加わり、第1四半期に全世界で発売する計画を発表した。かわいらしい顔立ちでレトロフューチャーな雰囲気を醸し出すこのスクーターは、70年代、80年代の人々が「未来的」乗り物はこうなると思っていたものを彷彿させる。

これはBMWにとって初の電動スクーターではない。同社は2014年にC Evolutionを発売したが、米国内ではあまりうまくいかなかった。おそらく、時代より早かったためだろう。おそらく、価格が1万3000ドル(約144万円)だったからだろう。

CE 04の価格は1万2000ドル(約133万円)から。そしてBMW Motorrad Concept Link最大のポイントは「未来の都市環境にとって何が重要かというビジョン」を提供することであり、そうすればたとえ売上が伸びなくてもBMWは気にしないだろう。しかし、BMWがガソリン車よりもずっと安いものを作るまで((Vespaなら新車が5000ドル[約55万円]以下で買える)、この自動車メーカーの新スクーターが各都市を席巻することは保証されていない。

8.9 kWhのバッテリーパックを使うことで、Evolutionの12.7 kWhパックと比べてBMWはずっと少ない台数で利益を上げられるだろう。高品質のテクノロジーと5年前と比べて安くなったバッテリーを利用できることを考えればなおさらだ。

BMW Motorradの広報担当者はTechCrunchに対しれ、CE 04はバイク市場の中価格帯の値段であり、電気自動車よりずっと安いと語った。

「一部の人にとっては、電気モビリティへのはるかにコストのかからない入り口です」と広報担当者はいう。

もちろん、熱烈なファンは飛びつくだろう。私たちが笑いの種にしないようにかなり苦労しているBMWの奇妙なプレスリリースにでてくる架空の人物のように。

早朝。町は目を覚まし始めている。ガレージへ行くまでの間に私は冷たい空気を吸った。着ているのはファッション的にも機能的にもカジュアルにカットされたパーカー。プロテクターは目立たないが安心感を与えてくれる。1日が始まる準備ができた。

ちょっと待った、まだ続きがある。

早起き鳥がさえずり、都会のジャングルが目を覚ます。町の音が高まり始める。すべてが動き始める。人々も動く、互いにそして平行に。出会いが起きる。

新しい日は何をもたらすか?川沿いの小さなバーで友達と食べるタパス?あるいは近代美術館の展示?何よりも先に、会社の予定がある。ワークショップ、ミーティング、顧客訪問。これが人生というもの。

私はスマートフォンをスクーターとペアリングし、腕をひと振りしてパーカーをアクティベートする。LEDが点灯する。私は静かだが、誰かに見てもらいたい。すべてがこんなにシンプルでスムーズ。

とうとうまた出発の時が来た。朝食の間さえも待ち遠しかった。鳥たちでさえ私に気づかない。私はほとんど音をたてることなく近所を滑走する。再び私は町の一部になる。

街との一体感

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「新しいBMW CE 04は、BMW Motorradの電気モビリティ戦略の論理的かつ考え直された延長線上にあります」とBMW CE 04のプロジェクトマネージャーであるFlorian Römhild(フローリアン・レムヒッド)氏は声明で語った。「市街地はこのクルマの要素の1つです。ここが新たな基準を作る場所です。テクノロジーとビジュアルスタイルの両方で」。

ヨーロッパとアジアの市場では、CE 04は都市向けバイクとして販売されるが、そのカテゴリーがほとんど存在していない米国では、スクーターは都市通勤者にリーチしようとしている。

CE 04の最大出力は42馬力で最高速度75マイル/時(約120 km/h)なので、米国の詰まった動脈であるハイウェイを走ることができる。推定航行距離は80マイル(約128 km)で家庭用レベル2充電器または公共充電ステーションで2時間以内で充電できる。ライダーはエコモード、レインモード、ロードモードの中から効率よく走れるモードを選ぶことができる他、パワーアップしたい人のためにはダイナモックモードが、1650ドル(約18万2000円)のプレミアムパッケージの一部として用意されている。

アバンギャルドなフォームに、車両の中間部に置かれたフラットなバッテリーが実現したスムーズで低い車高という機能性が加わり、ヘルメットと充電ケーブルのためのストレージコンパートメントが乗ったまま手の届く位置にある自由なデザインだ。エネルギーをバッテリーに戻す再生式ブレーキングシステムは、市街地を走る際に数多く使われるだろう。

最近のどの車両も同じく、10.25インチのカラースクリーンがハンドルバーに設置され、ナビゲーションとスマートフォン接続を備えている。USB-C充電ポートもある。

標準カラーは「ライト・ホワイト」だが、もっとすごい「マゼラン・グレイ・メタリック・アバンギャルド」のカラーリングを望む人はアップグレードに225ドル(約2万9800円)必要だ。どちらもブライト・オレンジのアクセントが施されている。

今後の展開は?

「当社のCEOは、これは『04』であり『4』の下にも上にもスペースがあると言っています。それは当初の未来の電動スクーターのためのスペースだと申し上げておきます」と広報担当者はいう。

BMWは他に開発中のモデルや発売のタイミングについて何も口にしていないが、CE 04は、完全電動車を2025年までに約200万台、2030年までに1000万台販売するというBMWの全体計画の一部である。

「世の中の動きがあまりにも速いため、CEシリーズへの新規追加は1~2年のうちに起きるかもしれません」と広報担当者は述べた。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:BMW電動バイク

画像クレジット:BMW

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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