British Airways、UnGroundedプロジェクトを発表 ― テック界の著名人たちを同じ飛行機に乗せてイノベーションをせまる

British Airwaysが「UnGrounded」なるイベントを行うと発表した。これはシリコンバレーの著名人100名を乗せてフライトするという試みだ。機内では、世界の大問題が、才能豊かなテック系人物たちにぶつけられる。国連のパートナーシップのもと、初めての「UnGrounded」フライトは6月12日に行われる予定だ。Google、Andreessen Horowitz、RocketSpaceなどからの人物が乗り込む予定になっている。

British Airways EVPのSimon Talling-Smithは「UnGrounded」のプレスカンファレンスにて「偉大なイノベーションというのは、個別に部屋に閉じこもっているときではなく、お互いに顔を合わせているときに生まれてくるものだと思うのです」と述べていた。ファウンダー、投資家、エンジニア、アカデミック分野の人びとに、若干のジャーナリストを加えて100名を構成したい考えだ。その100名で10時間のフライトを行い、ともに難問にチャレンジする。

UnGround計画での「イノベーションラボ」(innovation lab in sky)は、今後も飛行計画などを変更しつつ定期的に行なっていく予定にしているそうだ。最初のフライトではテクノロジーイノベーターと、世界的な問題の間に横たわる「ミスマッチ」について論じるものとなるとのこと。

ロンドンに到着した際には、第1回UnGroundedに参加したメンバーたちが国連もサポートするDecide Now Act (DNA) Summitにおいて、また、国際電気通信連合の事務総局長に対して成果のプレゼンテーションを行う。具体的な搭乗者はAndreessen HorowitzのTodd Lutwak、GoogleのLeor Stern、Innovation EndeavorsのCelestine Johnson、RocketSpaceのDuncan Logan、Silicon Valley BankのGerald Brady、そしてStanford GSBからMarguerite Gong Hancockなどとなっている。

Eric SchmidtのInnovation EndevorsやRocketSpaceなどが資金を拠出し、IDEOが飛行中のプランを練る。上に記したような人びとが一堂に介することはそうあることではなく、またせっかくのアイデアも、実現組織を用意できなければ無駄になってしまう。これはかなりチャレンジングな出来事となりそうだ。ちなみに客席は搭乗者数に合わせて100席ほどに減らされ、作業空間としてかなりまともなスペースを用意できそうだとのこと。

ところで、この計画がなぜBritish Airwaysにより実現されることになったのだろうか。Talling-Smithは次のように述べている。「私たちは実績豊かな航空会社であると自負しています。製品とサービスを皆様にお届けし、イノベーションを生み出す努力も続けております。但し、イノベーションの実現方法はいろいろと変化し続けています。テクノロジーの世界ではさまざまなことが日々起こっています。そこで私たちは、自分たちにできることは何なのかをもう一度問いなおしてみたのです。そして、私たちにとっては見慣れた存在である“機体”を、進化のための“坩堝”として利用できるのではないかと思い至りました。また、このUnGroundedは“イノベーター”として、まさにやりがいのあるプロジェクトであると考えたのです」。

「イノベーターと、世界的な問題の間に横たわる“ミスマッチ”」について論じるというのは、少々具体性に欠けるもののように聞こえるかもしれない。しかし、TechCrunchとしてもそうした視点の重要性を日々感じている。世界をより良いものにするという発想を持たず、目先にある小さな利便性にばかりとらわれるスタートアップもある。才能あふれる人びとをひとところに集めて、世界的な大問題に集中させることは、より多くのイノベーターたちを、より生産的な問題解決に向かわせる手段となり得るかもしれない。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。