ByteDanceが戦略投資チームを再編し中国テック業界がパニック、政府の規制強化への対策か

中国のテック業界にとって、何と目まぐるしい日だったのだろう。TikTok(ティクトック)の親会社ByteDance(バイトダンス)が戦略投資チームを解散し、他社への投資によって積極的に拡大してきた他のインターネット大手に憂慮するようなメッセージを送った。

ByteDanceは2022年初めに「事業のニーズ」を見直し「最重要ではない分野への投資を減らす」ことを決定したと、同社の広報担当者は声明で述べた。

しかし、ByteDanceは外部投資を全面的に中止するのではなく、投資チームを「再編」し「事業の成長をサポートするためにさまざまな事業ラインに統合する」予定だ。

言い換えると、中国のスタートアップデータベース「IT Juzi」によると、これまでに169社に出資した(一部の案件は非公開)戦略投資チームの一部のメンバーは他の事業部門に配置され、そこで投資を継続することになる。

この「再編」は、それでもやはり業界にパニックを引き起こした。ロイター通信は情報筋の話として、中国のサイバー部門を管理する規制当局が「インターネット巨大企業」に投資や資金調達を行う前に承認を得ることを義務づける新たなガイドラインを起草したと報じた。また、一部の中国メディアも同様の規則案を報じた。

ロイターの情報筋によると「巨大企業」とは、ユーザー数が1億人以上、または収益が100億元(約1800億円)以上のインターネットプラットフォームを指すという。これが本当なら、この規則によりTencent(テンセント)から、Alibaba(アリババ)、Pinduoduo(ピンデュオデュオ)、JD.com(JDドットコム)、Baidu(バイドゥ)まで、中国のインターネット大手の多くが、投資活動で監視下に置かれることになる。特にTencentは「中国のソフトバンク」と呼ばれるほど、投資先が豊富なことで有名だ。

驚くべきことに、中国のサイバー分野を管理する規制当局は「インターネット企業のIPO、投資、資金調達に関して噂されているガイドラインは事実ではない」と発表している。さらに当局は「法律に基づき、関連するデマを広げた者を調査し、責任を追及する」とのことだ。

ByteDanceのチーム再編の動機は、確かに外部投資と内部事業の間でより多くの相乗効果を生み出すためかもしれない。確かなことはまだわからない。しかし、インターネット界の寵児に対する中国の独占禁止の措置は、終わりには程遠いようだ。

Tencentは最近、最も重要な盟友である中国のオンライン小売企業JD.comとシンガポールのビデオゲームとeコマース複合企業Seaのかなりの株式を売却した。売却の原因として独占禁止の圧力は挙げられなかったが、中国が最大のインターネット・プラットフォームの独占パワーを鈍らせ続けているとの憶測が飛び交っている。プラットフォームのいくつかは、反競争規則違反でさまざまな額の罰金を受けたが、投資ゲームの停止はより大きな結果をもたらすだろう。問題は、次にくるのはどの企業か、ということだ。

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画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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