ByteDanceの社内再編でTikTokの親会社の将来が見えてきた

ByteDance(バイトダンス)は、エンジニアリングからマーケティングサポートまでのリソースを共有する強固なバックエンドを通じてアプリを生産して収益化するという実証済みのモデルにより、「アプリ工場」として長い間評価されてきた。その結果、中国ではDouyinやToutiao、その他の地域ではTikTokなどの人気アプリが誕生した。

その間、同社は自制的なプロダクトを次々と発表し、「フラット」な社内組織を誇ってきた。The Informationがまとめたデータによると、2020年9月時点で、トップのZhang(張)氏は14人の幹部を従えていた。

しかし、会社が繁栄を続けるにつれ、幹部たちは膨れ上がった会社の規模に合わせて構造的な変革が必要だと認識した。その変化が訪れた。TechCrunchが11月2日に確認した内部文書によると、ByteDanceはアプリとオペレーションを6つの新しい「事業部門」に分類する。

注目すべきは、現在TikTokの最高経営責任者であるShou Zi Chew(周受資)氏が、ByteDanceの最高財務責任者ではなくなることだ。周氏は、Xiaomi(シャオミ)でCFOを務めたこともある銀行幹部で、3月にByteDanceのCFOとして入社し、5月にTikTokのCEOに就任した。

CFOに任命された当時、周氏はByteDanceの新規株式公開のために引き抜かれたのではないかという憶測が流れた。

しかし、Ant Group(アント・グループ)が計画したIPOの失敗や、その後のDidi(ディディ)への規制締め付けにより、上場を目指す中国のインターネット企業の見通しは暗くなっている。ByteDanceにとって、もうひとつの、そしておそらくもっと難しい問題がある。それは、同社のどの部門をどこに上場させるかということだ。

ByteDanceの共同設立者であるRubo Liang(梁汝波)氏は、Zhang Yiming(張一鳴)氏の後任として同社CEOに就任した。

新たに設立された6つの事業部門は、ByteDanceの当面の戦略的焦点を示す有益な指標となる。その内容は以下の通りだ。

TikTok:動画共有アプリと、それに付随するビジネス(中国国外でのeコマース事業など)を管理する部門。

Douyin:TikTokの中国版であり、ByteDanceが中国で展開している広告付きコンテンツ事業を統括する独立した事業部門の名称として正式決定した。長時間の動画を配信するXiguaや、同社の人気ニュースアグリゲーターToutiaoもこの部門に組み込まれる予定だ。

Dali Education:Daliは、ByteDanceがオンライン学習分野に進出するために2020年に設けられた。現在は職業学習、教育用ハードウェア(多忙な親が宿題の時間に遠隔で子供の相手をすることができるランプなど)、キャンパス学習の取り組みを統括している。

Lark:職場コラボレーションソフトウェアであるLarkは、SlackとG Suiteを1つにするというByteDanceの野望であり、同社のB2Bへの賭けの一環でもある。

BytePlus:ByteDanceのB2B事業の中で、基本的にはインフラの部分。法人顧客にAIやデータツールを販売する。

Nuverse:ByteDanceのゲーム開発・出版部門で、海外向けタイトルの管理も行う。中国のゲーム会社は、規制による不確実な状況で海外での成長を求める傾向が強まっている。

TikTokのアイデンティティ

TikTokの事業部門が設立されたことは注目に値する。ByteDanceは、TikTokが中国政府と関連しているという懸念が欧米で高まって以来、TikTokを他の中国事業から切り離してきた。TikTokは、すべてのデータを米国に保存し、バックアップサーバーは親会社の本社がある北京ではなく、シンガポールに置いているという。

これらの措置は、米国の規制当局の懸念を和らげるのに十分ではない。TikTokは、米国での初の議会公聴会で厳しい質問に直面し、意味を明確にするよう何度も求められた。

Ted Cruz(テッド・クルーズ)上院議員は、Beijing ByteDance TechnologyがTikTokの「企業グループ」の「一部」であるかどうかについて明確にするよう求めた。これらの文言は、TikTokのプライバシーポリシーで使用されているもので、アプリは「収集したすべての情報を企業グループの親会社、子会社、またはその他の関連会社と共有することがある」と記載されている。

TikTokの担当者は、ByteDanceの中国法人であり、中国政府が今年出資して役員を送り込んだBeijing ByteDance Technologyと、TikTokは「無関係」であると主張した。この文言は上院議員を満足させるものではなかった。

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画像クレジット: Greg Baker / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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