CADと3DモデリングツールのAutodeskがクラウドベースの製品ライフサイクル管理Upchainを買収

CADと3Dモデリングツールで知られる上場ソフトウェア企業Autodesk(オートデスク)は米国時間4月15日、クラウドベースの製品ライフサイクル管理(PLM)サービスを提供しているトロント拠点のスタートアップUpchain(アップチェーン)を買収したと発表した。買収価格は明らかにしなかった。両社は2021年7月31日までの取引完了を見込んでいる。

Crunchbaseによると、Upchainは2015年の立ち上げ以来、740万ドル(約8億円)を調達した。同社のサービスは、事業者が新プロダクトの立ち上げから生産、サプライチェーンとの協業へと展開するのをサポートするための既存のライフサイクル管理のソリューションは使いづらく、規模の大きな多国籍企業向け、という考えに基づいている。Upchainのターゲットは中小企業で、他のソリューションよりも安価で使いやすいと約束している。顧客ベースは繊維やアパレルから自動車、航空宇宙、産業機械、輸送、エンターテインメントに至るまで、さまざまな産業にわたっている。

「Upchainの唯一のフォーカスは、すべての製品ライフサイクルのクラウドコラボをレベルアップし、みんなが必要なときに必要なデータにアクセスできるよう、人々の働き方を変えることです」とUpchainのCEOで創業者のJohn Laslavic(ジョン・ラスラヴィッチ)氏は発表文で述べた。「Autodeskは、全バリューチェーンのエンジニアとメーカーがいかにコラボし、最高品質の製品をマーケットにすばやく持ってくるかを大胆にシンプル化するという我々のビジョンを共有しています。UpchainとAutodeskが今後、どのようにしてともにそのビジョンを次のレベルにもっていくか、楽しみにしています」。

Autodeskにとって2017年以来、今回は15件目の買収だ。2021年初めのオレゴン州ポートランド拠点のInnovyzeの買収はAutodeskの初の10億ドル(約1086億円)買収だった。創業35年のInnovyzeは水管理産業向けのモデリングとライフサイクル管理を専門としている。

「新プロダクト開発の複雑さが増すばかりの状況に直面している製造業者にとって、レジリエンスとコラボレーションほど重要なものはありません。当社は最も強固なエンド・ツー・エンドのデザインと製造プラットフォームをクラウドで提供することで、そうしたニーズに対応します」とAutodeskの会長兼CEOのAndrew Anagnost(アンドリュー・アナグノスト)氏は述べた。「データとプロセスの集合は産業を一変させています。Upchainを当社の既存の商品に取り込むことで、Autodeskの顧客は何の妨げなくデータを簡単に動かすことができ、斬新なアイデアやビジネスサクセスにつながる価値ある洞察を解き放つよう力を与えられます」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Autodesk買収

画像クレジット:JHVEPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。