Carbyneは緊急通報をUber化する――イスラエルのスタートアップがスマホ対応の新システム開発

イスラエルのスタートアップ、Carbyneがまったく新しい緊急通報処理システムを開発した。これは最近普及してきたインターネットによるライブ・ビデオストリーミングや位置情報サービスの機能を最大限利用するシステムだ。

ファウンダー、CEOのAmir Elichaiは2013年にテルアビブのビーチで泥棒にあい、警察に通報したが、必要な情報を伝えるために延々と会話しなければならなかったという(「あなたが現在いる場所を教えてください。何が起きたのですか?」等々)。このときに感じたフラストレーションがCarbyneを創立するきっかけになった。「Uberのドライバーもピザの配達係もワンクリックで私がどこにいるのか知る。それなら911でも同じことができるはずだ」とElichaiはいう。

Carbyneが現在最優先の課題としているのが「発出時間」だ。つまり通報電話をかけてから警察や消防が対処要員を派遣するまでにかかる時間を短縮することに集中している。これを実現するためには。現場の正確な位置と対処すべき事態の内容という2つの情報が必須だ。Carbyneではデバイスのロケーション機能を活用するのはもちろん、一歩進めて、屋内の位置検出テクノロジーを利用して指令員が通報者の位置をすばやく知ることができるようにしている。数秒以内に1メートル以内の精度で位置を特定できるという。

また、Carbyneシステムには状況把握のためにライブ・ビデオストリーミング機能が組み込まれている。通報者の許可を得れば指令員は通報者のデバイスのカメラにアクセスすることができる。「この2つのテクノロジーを組み合わせることで要員の派遣までに要する時間を60%から65%減らすことができる」とElichaiは説明する。

次のステージは医療情報のすばやい伝達

現在の緊急通報システムは基本的に固定回線のテクノロジーを前提としている。そのためカメラ、チャット、GPSなど今やスマートフォンで普通となった機能を活用することが難しい。現在のレガシーシステムに新機能を組み込もうとするのではなく、緊急通報システムをスマートフォン時代に適合した全く新しいプラットフォームに置き換えようというのがCarbyneの考えだ。同社では新しいシステムをイスラエルだけでなくアジア、ヨーロッパ、中南米に導入している。最近、アメリカについてもジョージア州ファイエット郡と契約を結んだという。

新システムのメリットは明らかだが、最大のハードルは各種の規制だ。これは郡や市などの自治体ごとに大きく異なる。Elichaiは「まず当局を納得させる必要がある。新しいテクノロジーを活用しようと意欲的な自治体もあるが、サイバーセキュリティーなどの面に不安を感じる自治体もある。またCarbyneシステム導入にともなって警察や消防の活動自体も変化するので十分な研修や再訓練が必要になる。このシステムによってどういうメリットが得られるのかよく分かるようにデモしなければならない」とと語った。

Carbyneが現在取り組んでいるのは対処時間の短縮だが、次の課題は救急医療サービスとの連携だ。対象者の状態、症状を写真やビデオを活用していち早く伝えれば救急車や受け入れ側の病院は器具、設備などを適切に準備できる。「こうした緊急通報ネットワークのエコシステムは非常に巨大で複雑なものになる。Carbyneを世界に普及させるためにわれわれがなすべきことは多い」とElichaiは結んだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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