Cloudflareがクラウドストレージ「R2」で市場参入、「第4のパブリッククラウド」目指す

企業のウェブアプリケーションのパフォーマンスとセキュリティを向上させるCloudflareには、現在、世界中でおよそ250のデータセンターがある。同社はこのほど、R2と名づけたクラウドストレージを提供し、初めてインフラサービスを始めることを発表した。

同社の共同創業者でCEOのMatthew Prince(マシュー・プリンス)氏によると、ストレージサービスの提供は、同社がこれまで行ってきた他のプロダクトの提供と何ら変わるところはない。まず社内で何かが必要になり、それを自分たちで開発し、それを顧客にも提供するようになるというパターンだ。

「プロダクトを作るときは、それを自分たちが必要だから作ることが多い」とプリンス氏はいう。彼によると、ストレージは、画像などのオブジェクトを同社のネットワークに保存するニーズから生まれた。一度それができ上がると、クラウドストレージの市場を眺めてみて、これはプロダクトとして顧客にも提供した方が良いと思われてきた。

「他のストレージソリューションが提供するすべての機能を備えたものを構築できるかどうかを考えました。このソリューションは、当社のグローバルネットワークを利用しているため、非常に優れたパフォーマンスを発揮し、お客様にとって非常に魅力的な価格を設定することができます」とプリンス氏は語る。

「R2」という名称は、Amazonのストレージプロダクト「S3」を少々揶揄したもので、明らかに名前をもじったものだ。プリンス氏によると、その違いは、エグレスの料金をなくすことで、ストレージのコストを最大10%削減することができたという。Cloudflareでは、ストレージの価格を、保存データ1GBあたり月額0.015ドル(約1.67円)に設定する予定だ。これに対してS3の価格は月に50TBまでは1GBあたり0.023ドル(約2.56円)からとなっている。

「データ転送にかかるコストを考えると、どのクラウド事業者でも、データを上げるのは無料ですが、データを取り出すのにはコストがかかります」とプリンス氏はいう。今回のサービスの目的の1つは、データの移動にかかるコストをなくすことであり、同社がいうところの「不定期のアクセス」には料金を課さない方針だという。

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プリンス氏は、これが帯域幅の価格が年々下がっているにもかかわらず、Amazonなどのクラウドサービスのストレージの価格が高止まりしていることの背景だと考えている。彼の見積もりでは、そうしたコスト削減分の一部を顧客に還元できるという。彼は、パートナーであるBackblazeやWasabiのようなスタートアップと直接競合するつもりはないが、両社とも同じようにクラウドストレージ市場でAmazonや他の大手クラウドプロバイダーに対抗しようとしている。

このプロダクトはまだ開発中で、数カ月後にベータ版のテストができるようになった時点で、参加希望者のためにウェイティングリストを設けている。

プリンス氏は、Cloudflareはストレージ以外のサービスの構築も視野に入れており、最終的にはAWS、Google、Microsoftの3大クラウドベンダーと競合すると考えているという。「私たちは第4のパブリッククラウドになるための道を歩んでいると考えています。私たちのアプローチは、他の3社よりもはるかに差別化されていると考えています」とのことだ。

画像クレジット:Yulia-Images/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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