CloudflareはDDoS攻撃の間のクラウド利用を無課金にして顧客の被害を軽減

Webパフォーマンス/セキュリティ最適化サービスとして人気の高いCloudflareは今週で7歳になるが、顧客への感謝のプレゼントとして、DDoS被害軽減策を提供することになった。すなわちDDoSがその攻撃で使用/浪費した帯域(および時間)はユーザーに対し無課金とし、攻撃の続く間、ユーザーのサイトを同社サービスから(実質的にインターネットから)切り離す。

CloudflareのCEO Matthew Princeによると、DDoS攻撃の間の無課金は、攻撃のサイズの大小を問わず、また無料プランから最上位のエンタープライズプランまで、利用プランのレベルを問わない。

Princeの言うとおりこれは思い切った決断だが、結果的には同社の今後の成長にも寄与する、という。今やDDoS攻撃はありふれているから、少なくともネットワーキングの費用面でその心配がなくなると、Cloudflareの利用を前向きに検討する顧客が増えるはずである(もちろん事業機会の損失は依然としてあるが)。“これまでは、攻撃の規模が大きくなると、顧客への請求書の額も肥大していた。また、防御対策の費用も膨張する”、とPrinceは説明する。

ふつうは、ユーザーがDDoS攻撃を受けると、攻撃のピーク時の使用帯域をベースとして課金額が計算される。しかしPrinceは曰く、“しかしこれらの攻撃は毎秒数百ギガビットという規模だから、帯域課金だけでもすぐに数十万ドルのオーダーになってしまうのだ”。

通常は、数十万ドルになる前にクラウドがそのユーザー(顧客)を切ってしまうが、そうなるとユーザー視線ではネットワークリソースがより希少なものになる。Princeによると、クラウドサービス側がユーザーを勝手に切ってしまう従来のやり方は、“粗暴かつ無作法である”。それは、顧客を犠牲にして犯人に譲歩していることであり、攻撃終了後にクラウドサービス側が顧客に高額な請求を送ることは、DDoSの犯人が顧客から金を巻き上げようとすることと変わらない。

同社の数年前の誕生日には、やはり当時としては異例の、無料の暗号化サービスを立ち上げた。“無料の暗号化をデフォルトで提供し始めたときは、クレージーだ、絶対うまくいかない、と言われた。でも4年経った今では、ほとんど業界の標準慣行になっている”、と彼は語る。

Princeの期待は、DDoS無課金もやはり、業界の標準慣行になることだ。“4年後には、DDoSの帯域被害額==ゼロ、が常識になるだろう。インターネットが、もっと良い場所になるね”、と彼は言う。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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TechCrunch Japan

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