Clubhouseのアイコンにもなった芸術家ドゥルー・カタオカ氏が初のNFTをオークション、収益すべてをアジア系米国人のために寄付

Drue Kataoka(ドゥルー・カタオカ)氏の作品は、世界30カ国のみならず、国際宇宙ステーションでも展示された経歴がある。最近ではClubhouseアプリの新しい顔に選ばれたアーティスト兼活動家の同氏は、アジア系米国人の活動を支援するため、同氏にとって初となるNFT作品をリリースすることとなった。このオークションはデジタルアートマーケットプレイスNifty Gatewayにて米国東部時間5月13日午後1時30分に開始され、Clubhouseでのローンチパーティとともに24時間にわたって開催された。Nifty Gatewayはオークション手数料を免除し、すべての収益はAsian Pacific Fundと提携しているビジネスリーダーや活動家の連合体Stand with Asian Americansの助成部門であるCatalyst Fund for Justice(CFJ)に寄付される予定だ。

鏡面仕上げの鋼製の彫刻や、バーチャルリアリティ、脳波、モバイル技術を用いたアートなどの依頼作品で知られているカタオカ氏。同氏の作品の1つでわら紙に墨で描かれた「Up!」は、国際宇宙ステーションで行われた初の無重力アート展示の一部にもなっている。また、活動家やオーガナイザーとしても活躍している同氏は、1968年にCoretta Scott King(コレッタ・スコット・キング)氏が始めた非営利団体The Martin Luther King Jr. Center for Nonviolent Social Changeのため、Clubhouseを通じて#StopAsianHate#Clubhouse4India#24HoursofLoveなどで合計で約30万ドル(約3300万円)の寄付を行っている。

「In the Club:#StopAsianHate」と名づけられたカタオカ氏のNFT作品は、Clubhouse内の活動家コミュニティにインスピレーションを得たものである。同氏は10万2000人のフォロワーを持つClubhouse最大のアートグループ「Art Club」を率いている。

「Clubhouseを社会変革のための媒体として活用することに情熱を注いできました」とカタオカ氏は話す。今回のプロジェクトでは「慈善活動かアートかのどちらかだけでなく、両方に総力を挙げ、目標を達成してアジア系米国人コミュニティにできる限りのインパクトを与えたいと思っています」。

同氏はDrue Kataoka Studiosの創設者兼最高経営責任者を務めており、禅宗、墨絵の修行、そしてシリコンバレーからの影響を結集した作品を制作している。バーチャルリアリティやARなどの技術、コードの書き方、ビジネスの基礎などを学びたかった同氏は、美術大学ではなくスタンフォード大学を卒業している。

「ここ20年間の私の信条は、アートはテクノロジーであり、テクノロジーはアートであるということです」と同氏はTechCrunchに話してくれた。

カタオカ氏にとって初となるNFT作品のリリースについて、同氏は「最初のプロジェクトについてはとても慎重に考えていたので、この作品となってうれしく思っています。私はこれまでもこの分野を注意深く見てきましたし、暗号資産やNFTに対してとても強気です。変動性が高く、衰退するものや時の試練に耐えられないものも多くあることは承知していますが、最終的には創造性や多くの重要なことのためのメカニズムとして未来をかたち作っていくことでしょう」と話している。

Stand with Asian AmericansのCatalyst Fund for Justiceの共同議長を務めるEric Kim(エリック・キム)氏は「彼女が今回の収益の100%をAAPI(アジア・太平洋諸国系米国人)コミュニティに向けて寄付してくれるということに、非常に大きな意味があります。また、ブロックチェーン技術の美しい表現でもあると感じています」と述べている。

キム氏はベンチャー企業Goodwater Capitalの共同創設者兼マネージングパートナーでもある。「私はブロックチェーンの最適なプロダクトマーケットフィットをずっと探してきました。デジタルアートがコード化されて非代替性トークンで証券化され、さらにコミュニティのために活用されてClubhouseなどでもローンチされ、Nifty Gatewayのようなプラットフォームを通じてオークションにまでかけられるというこのプロジェクトは、私がこれまでに見たブロックチェーンの中でも最高の方法の1つであり、複数のコンシューマーテックのプラットフォームが見事に連携した結果の賜物です」。

約1分間の「In the Club:#StopAsianHate」では、Clubhouseの部屋のイメージが金色の背景に重ねられている。ユーザーの写真は取り除かれ、残された空間にはカタオカ氏がバーチャルリアリティで造形した一連のモチーフが流れ動いている。同時に、最近行われた街頭デモの声がカタオカ氏自身の心臓の鼓動の録音に重ねて流されている。最終的にその声が風の音に変わり消えていくのだが、これは多くのアジア文化において生命力の源とされている空気、すなわち「気」「氣」「プラーナ」を象徴している。

「この作品はこの活動に信念と信頼を寄せ、当初からこの問題について声を上げ続けてきた活動家やコミュニティメンバーへの敬意を表したものです。主要メディアが、アジア系米国人コミュニティに起きている多くのヘイトクライムや大きな問題を見て見ぬふりをしたり、包み隠したりしていることがとても気になっていました。Clubhouseでは編集もセンサーシップもなく、2020年の早い段階から私はこのような会話をホストして聞いていました。私たちは真剣にこの会話に取り組み、Twitterとの相乗効果によって広がりが勢いを増していきましたが、当時主要メディアはまったく気にもしていませんでした」とカタオカ氏は振り返る。

キム氏によると、Catalyst Fund for Justiceはデータに基づいたアプローチで助成先を決定するという。初めはヘイトクライムの減少や被害者の支援、職場での差別、政治におけるアジア系米国人の欠如、資金不足の非営利団体の支援などに重点を置く予定だ。また、教育カリキュラムにアジア系米国人の歴史をもっと取り入れることや、職場での偏見によってアジア系米国人が昇進を妨げられているという状況を理解すること、また市民団体にアジア系米国人を増やすことなどを目標としている。

アトランタの銃乱射事件の後、キム氏はGoodwaterの共同設立者であるChi-Hua Chien(チ・ファ・チェン)氏、GGVのマネージングパートナーであるHans Tung(ハンス・タン)氏、Lightspeed VentureのパートナーであるJeremy Liew(ジェレミー・リュー)氏などのベンチャーキャピタリストと協力して有力なベンチャーキャピタルから500万ドル(約5億5000万円)を調達し、AAPIの組織に寄付をしている。

「このような意識の高まりと活性化から、ビジネスリーダー、起業家、投資家はどうすればもっと体系的にこの活動を行うことができるか、自分たちの専門的なスキルセットをこの活動にどう適用することができるかを考え始めました」とキム氏。

こういった議論の結果、Stand with Asian Americansが誕生。2021年3月末にはZoomの創業者兼CEOのEric Yuan(エリック・ユアン)氏、YouTubeの共同創業者であるSteve Chen(スティーブ・チェン)氏、Yahooの共同創業者であるJerry Wang(ジェリー・ワン)氏、Stitch Fixの共同創業者兼CEOのKatrina Lake(カトリーナ・レイク)氏、元ワシントン州知事で米国商務長官のGary Locke(ゲイリー・ロック)氏など、ビジネス界や政治界のリーダーたちが共同で署名したWall Street Journalの全面広告でそのミッションを紹介している。Stand with Asian Americansは、ベイエリアで最も長く活動しているAAPI 非営利団体であるAsian Pacific Fundと提携し、助成金を提供する部門としてCatalyst Fund for Justiceを立ち上げた。同部門には現在8000人近くの署名者と100人以上の献身的なボランティアの力が存在する。

Asian Pacific Fundの会長兼エグゼクティブディレクターのAudrey Yamamoto(オードリー・ヤマモト)氏は声明中で次のように述べている。「家の外に出る度に暴力への恐怖に怯えなければならい今、カタオカ氏によるGenesis NFTドロップの惜しげもない寄付はAAPIコミュニティにとってかけがえのないものです。Catalyst Fund for Justiceは新たな資金源を開拓し、データに基づいたアプローチを用いてAAPIコミュニティが直面する最大の不正に立ち向かうための助成を今後も行っていきます」。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFTオークション寄付アートClubhouse

画像クレジット:Drue Kataoka

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(文:Catherine Shu、翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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