Coinbaseの第2四半期決算は予測超えも第3四半期の取引高は減少傾向と注記

米国時間8月10日の取引終了後、Coinbase(コインベース)は第2四半期決算報告を発表し、再び印象的な結果を示した。

同四半期中Coinbaseの総売上は22億3000万ドル(約2469億6000万円)に達し、その結果16億1000万ドル(約1783億円)の利益をこの3カ月間に計上した。同社は一時的な項目から7億3750万ドル(約816億7000万円)の利益を得ており、これについてCoinbaseは、四半期初めのダイレクトリスティングによる「税優遇」よるものと説明している。

この結果、本稿では同社の調整後EBITDAを重視するという奇妙な状況になった。この数字はより厳密な純利益よりも割り引かれることが多いが、同四半期の調整後の数字は、会社の定常的収益性をより明確に表わしている。Coinbaseは四半期の調整後EBITDAを11億ドル(約1218億2000万円)と報告した。

会社は予測を優に上回った。市場の予測は売上がわずか18億5000万ドル(約2048億8000万円)、調整後EBITDAが9億6150万ドル(約1064億8000万円)だった。Yahoo Financeによる。

すべてが順調だが、同社は暗号化経済の現状を理解するのに役立つすばらしいデータ群を提供している。詳しく見てみよう。

取引高

Coinbaseの第2四半期に関して我々が必要としているデータセットが2つある。第1は月間取引ユーザー数(MTU)と総取引高に関するものだ。


Coingbaseが第2四半期にMTU、および同社の四半期取引高を増やし続けたことは同プラットフォームの資産価値が減少していることを踏まえると実に印象的だ。つまり、Coinbaseは暗号資産全体の価格が下落していたこの時期に取引高を増やすことに成功したということだ。

「価格変動に関わらず、当社は第2四半期を通じて数十億ドル(数千億円)の純資産流入額を記録し、新規顧客を増やしました」と同社はいう。

次のデータ群は、取引高を発生源と種別で分類している。


2021年第1四半期から第2四半期にかけての小売取引高の成長は目覚ましいが、Coinbaseが同四半期に追加した機関投資家の取引高はさらに強力だ。これは膨大な結果といえる。

暗号資産志向の人々が金融志向よりも増加する中、この2番目の数字はいっそう注目に値する。Ethereum(イーサリアム)の取引高がBitcoin(ビットコイン)を上回っているだけでなく、Ohter cyrpto assets(その他の暗号資産)がBitcoinの2倍以上取引されている。

主役の交代か?同社はこうなった理由を3つ挙げたが、その2番目が最も興味深い。決算書にこう書かれている。

割合の変化は主としてEthereumの取引高のはっきりした成長によるものです。CoinbaseにおいてEthereumが初めてBitcoinの取引高を上回ったのは、DeFi(ディーファイ)およびNFTエコシステム(Ethereumが重要なブロックチェーンとして支えている)の成長がきっかけであり、当社のステーキング・プロダクトであるETH2が需要を高めた結果です。

Ethereumブロックチェーンで興味深いのは、基礎をなすコインであるether(イーサ)の流通量を増加させていることだ。Bitcoinは最古の暗号資産だが、その王座はサビつきつつある。それでもBitcoinはCoinbaseで47%を占める最大の資産だ。

次に売上について話そう。

売上

機関投資家による取引はCoinbaseの印象的な成長の源だが、同社の売上を分析すると今も小売が中心だ。データはこちら。


第1四半期から第2四半期にかけての取引売上の成長は自明の理であり、第2四半期における同社の好調な総合結果の主要因だった。しかし、更に注目すべきは同社のサブスクリプションおよびサービス売上の膨大な変化であり、2021年第1四半期の5640万ドル(約62億5000万円)から最新四半期の1億260万ドル(約113億6000万円)へと100%近く成長した。

たしかにCoinbaseは今も取引中心の会社だが、売上で見ると、サービス部門が重要になりつつある。

ここでちょっと悪いニュース。

2021年第3四半期は?

まず、Coinbaseが第3四半期のスタートをどう説明しているかを見てみよう。

7月の小売MTUと総取引高はそれぞれ630万ドル(約7億円)と570億ドル(約6兆3131億5000万円)だった。暗号資産の価格と変動性が第2四半期と比べて著しく下がったためだ。8月時点の小売MTUと取引高は7月よりやや改善したが、依然として年初より低いままだ。これを踏まえ、第3四半期の小売MTUと総取引高は第2四半期よりも低くなると我々は考えている。

これに対して第2四半期はMTUが880万ドル(約9億7000万円)、四半期の月平均総取引高が1540億ドル(約17兆570億4000万円)に達した。8月が7月よりも好調という傾向にはやや慰められるものの、Coinbaseの第3四半期のビジネス規模は第1四半期や第2四半期よりも小さくなりそうだ。

なぜ強力な第2四半期結果を受けてもCoinbase株が飛躍していないのか不思議に思っている人にはこれが理由だろう。もちろん、暗号資産の本格的な投資家ならだれでも、この分野の数値がいかに変動するかをよく知っている。だから、何回かの好調な結果が続いた後の減少はさほど大きいことではない。

Coinbaseは本稿執筆時点の時間外取引で1株あたり267.55ドル、これはおよそ0.25%ほどの値下がりなのでほとんど誤差の範囲だ。

そういうわけで、Coinbaseの第2四半期はすばらしかった!

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Coinbase暗号資産NFT

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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