CRISPR-Cas9の特許権を巡る口頭弁論、いよいよ来月開始

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驚異の遺伝子編集技術であるCRISPR-Cas9の特許権の所在を巡る、口頭弁論の始まる日程が決定した。

バークレーのJennifer Doudnaと彼女の同僚でマックス・プランク研究所のEmmanuelle Charpentierは12月6日に裁判所へ出廷、MITのFeng Zhangと対峙する。彼女たちは米国特許商標庁の3人の審査員の前で、なぜZhangではなく自分たちが特許権を持つにふさわしいか、その論拠を提示する予定だ。その特許は、すべての遺伝性疾患を根こそぎ根絶できる可能性を秘めている。

CRISPRに関しては幾つかの特許が存在しており、MITはそれらにおける最大のシェアを誇っている。しかし、DoudnaとCharpentierはそのうちの特定の特許に対してのクレジットを主張しており、それは彼女の示した、CRISPR Cas9システムを使えばバクテリアのDNAを編集できるという成果に基づいたものだ。

しかし、MITによると、Zhangはその一歩先を行き、ヒト細胞においてDNA編集が可能であることを示した。

Doudnaと彼女のチームによると、それは論理的な帰結であり、それ自体が彼女の仕事に基づいたもので、その特許の根拠となる彼女の思いついたアイディアから十分に異なっているとは言えない、と主張している。

これまで血なまぐさい争いが続いており、そこには何千万ドルもの費用がつぎ込まれてきたが、この抗争の決着がつくのには、まだ何年もかかるかもしれない。

しかし、この争いに関しては単に業績のクレジットがかかっているだけではない。 CRISPRは、産業界全体を変革させる可能性を秘めており、CRISPRを使うことで、ガン、糖尿病、パーキンソン病および他の多くの衰弱性疾患を、それが遺伝性疾患である限り、一掃できる可能性があるのだ 。そしてその技術のライセンス権を保有する人にとって、それは数十億ドルの価値があるのだ。

これらの訴訟を行う命令は4ページの手紙として11月5日付けで発表され、それについてはここで読むことができる。訴訟は一般に公開され、バージニア州・アレクサンドリアに拠点を置く審査員たち(訳注、アレクサンドリアは米国特許商標庁の所在地)がそれぞれの当事者を尋問し、主張の整合性を詳しくチェックすることになる。
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(翻訳:Tsubouchi)

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TechCrunch Japan

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