D-Waveがハイブリッド量子プラットフォームを公開

初期の量子コンピュータのスタートアップD-Waveが、新製品「D-Wave Hybrid」の一般提供を開始することを発表した。これはオープンソースのハイブリッドワークフロー・プラットフォームで、開発者は通常のコンピューティングと量子コンピューティングを融合したハイブリッド量子アプリケーションを作ることができる。D-Wave Hybridは、同社の量子コンピューティング・クラウドサービスであるLeapの一部を構成するソフトウェア開発キット、Oceanの一コンポーネントとして提供される。

量子コンピューターは、量子チップを制御するために伝統的コンピューターが必要なため、基本的にほとんどがハイブリッドシステムだ。本プラットフォームは、D-Waveが最近発売した2000Qファミリーハードウェアおよび将来のシステムで走るアプリケーションを開発するための環境を提供する。

D-Wave HybridやRigettiなどのライバルが提供する類似のツールは、量子コンピューターをコプロセッサーとして有効な場面で使うアプリケーションを作るという使い方が一般的だ。さらにD-Wave Hybridは、今はまだ比較的能力の限られている量子プロセッサーで処理できるように、大きい問題を小さな部品に分解するときにも役立つ。

「量子ハイブリッド開発では、伝統的コンピューティングと量子コンピューティングの能力をすばやく組み合わせることができる。実際、われわれの量子テクノロジーを使うアプリケーションのほとんどは、伝統的コンピューティングと量子コンピューティングのハイブリッドとして動作する。現在多くのプログラムでCPUとGPUが協調して動作しているのと同じだ」とD-Waveの執行副社長・最高製品責任者のAlan Baratz氏は言う。「われわれのアプローチは実践的だ。D-Wave Hybridは、現行の問題解決の知識をハイブリッドプラットフォームに適用することで、ユーザーが段階的に量子の力を利用できるようにしている。こうすることでわれわれは、顧客が真の企業利益を得られるサービスを開発できる」

同システムの初期ユーザーであるVolkswagenは、トラフィックフローの最適化やその他の最適化問題に関わるさまざまな小規模の概念証明にこのシステムを使っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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