DMM.makeが日本発のハードウェアを海外小売店で販売できる流通網を提供開始

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DMM.comは日本のスタートアップが制作するハードウェアの国内外での流通を支援する新規事業「DMM.make Distribution」を立ち上げたと本日発表した。また、その取り組みの一環としてDMM.makeに入居するスタートアップの商品と今回新たに発表した自社ブランド「DMM.make BASIC」から複数のIT周辺機器の販売を開始する。

これまでDMM.make AKIBAは、ハードウェアを作るスタートアップにプロダクト制作のための設備やビジネスのノウハウを提供してきたが、今回、日本のハードウェアスタートアップが抱える流通の課題を解決するためにDMM.make Distributionを立ち上げたと新規事業担当者の板谷稔氏は説明する。板谷氏はソフトウェアは言葉の壁や文化の違いがあるため他国で受け入れられづらいが、心を掴むハードウェアは海外展開に向いていると話す。しかし一方で、そうするには超えなければならないハードルがいくつかあると指摘する。例えば、各国の法制にプロダクトが準拠しているかや安全認証の取得、カスタマーサポートや返品対応の整備、そしてプロダクトの輸送手段から各地域の小売店への流通網を確保することなどだ。小規模なスタートアップにとって各地域ごとにそれら全てを担うのは難しく、DMM.make Distributionはそこを支援するという。

DMM.comではかねてからメディアや商品の販売を通じて国内の物流網はもちろんのこと、海外にも営業拠点とパートナー企業を持ち合わせている。具体的にはアメリカ、ベルリン、中国、香港に営業拠点があり、インドとドバイにはそれぞれ提携会社がある。それらの拠点を活用し、世界に日本生まれのハードウェアを発信すると板谷氏は話す。またそれと同時に海外スタートアップのハードウェアを日本の市場に届ける支援も行っていくそうだ。

USBケーブル

今回の事業を始めるに辺り、DMM.make AKIBAに入居しているUPQCEREVOらのプロダクト、そして新たに立ち上げた「DMM.make BASIC」の商品を楽天市場アマゾン、自社のECサイトDMM.make Storeで販売する。DMM.make BASICの製品は、各種認証を得た品質の高いもので、お手頃価格に押さえているのが特徴だという。商品ラインナップにはApple認証のライトニングケーブルや過電流・過電圧保護回路搭載のACアダプター、プリンター用互換インクなどがある。

DMM.make DistributionのテクニカルアドバイザーにはCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏が就任する。会見に登壇した岩佐氏は、Cerevoはこれまでも海外で自社製品の販売を行ってきたノウハウがあり、DMM.make Distributionに協力してスタートアップをサポートするという。スタートアップが自分たちでECサイトでプロダクトを販売することはできても、例えばインドの小売店で販売してもらうためにヒンディー語で現地の店舗と交渉できるような拠点と人材を持つことは難しいと説明する。DMM.make Distributionを通じて各地域での実店舗での販売ができる意味は大きいと岩佐氏は言う。

DMM.make Distributionは無料でハードウェアスタートアップの相談に乗るという。ビジネスモデルはまだ確定していないが、製品をDMM.make Distributionで買い取り、リセールするような形式を考えていると板谷氏は話した。

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TechCrunch Japan

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