Dockerがついにv1.0に、サポートとドキュメンテーション完備で本格商用化へ

Dockerプラットホームを支える企業Docker, Incが今日、同社主催のカンファレンスDockercon14で、Docker 1.0のリリースと“Docker化”されたプロダクトのためのマーケットプレイスを発表した。

CEOのBen Golubによると、これらの発表は同社のこれまでの15か月にわたる集中的な開発努力の成果だ。Golubの説明によると、1.0は初めての、商用サポートとドキュメンテーションが完備したプロダクションクォリティーのバージョンである。彼曰く、これまでは多くの人たちが0.xバージョンの開発に従事してきたが、これからはコミュニティサポートではなく商用サポートがつくので、銀行などの保守的な企業でも安心してDockerを利用できる。

Docker 1.0はGoogleが開発した新しいコンテナ技術の実装系の一つで、アプリケーションを、これまでのように変更を加えたり、開発サイクルの新しいステージに入るたびに、まったく新たな再インストールや再構成を必要とせず、安全に配布できる。

これまではデベロッパと運用者(ユーザ、オペレーション側)は利害が相反していた。デベロッパは必要に応じて変更を加えたいし、運用者は安定性を欲する。しかし変更を加えたことによって、他の部分や構成要件などが変わって、オペレーションサイドを悩ませることが多かった。

“Dockerは、この面倒な問題でデベロッパを救った”、と彼は言う。“それと同時に、アドミンの苦労もなくなった。DevとOpsの両方がハッピーになった”。

彼の説明では、Docker 1.0ではデベロッパはラップトップの上でボタンを一つ押すだけであり、プロダクションや、ステージング、顧客環境の側では、すべてが従来どおりに動く。デベロッパが開発ワークフローの次のステップに移って何かを変えても、プログラムを壊したり、問題の原因究明に苦労することがない。

すなわちプログラムをDockerのコンテナに安全に収めることによって、デベロッパがその内部を変えても外側の状態は前と変わらない。

また、Docker 1.0と併せて発表されたDocker Hubは、デベロッパが“Docker化”されたアプリケーションを見つけたり発表する場だ。Docker化アプリケーションとは、Dockerを使って動かすように調整されているアプリケーション、という意味だ。このハブでデベロッパは、ほかのデベロッパとコラボレーションすることができるし、また、Dockerのメンテなたちに会うことができる。ここに寄与貢献されるものを、メンテナたちがフィルタして、特定のジョブやプラットホームに合ったものを見つけるのだ。

Golubが言うには、オープンソースで行くなら全身でその世界に浸らないとだめだ。今では社員35名(+1匹の亀さん) を450名のデベロッパのコミュニティが支え、Dockerの開発や、カンファレンスの開催に尽力している。始まってからまだわずか15か月なのに。

このコミュニティ集団こそが、DokcerプロダクトとDocker Hubのメンテナンスの中心的な力であり、彼らがあらゆるコンテンツのクォリティーをたえずチェックしている。また、彼らの寄与貢献に悪い部分があれば、市場から叱声が返ってくる。

カンファレンスについては、Golub曰く、たった二つの新製品だから、カンファレンスなんかたいしたことない、と最初は考えていた。でも日程を決めて実際に準備を初めてみると、すごい大仕事であることが分かった。“最初は、カンファレンスはいいアイデアだと思ったんだけどね”、と彼はジョークを言う。

数からいえば、大成功だった。最初は500名を予定していたが、先週金曜日には急遽100名追加し、それでも、チケットにあぶれた人が400名以上いた。

講演者はGoogle、IBM、Rackspace、Red Hatなど大物企業の人たちばかり。Wired誌は、GoogleがDockerに深くコミットしていると報じ、GooglerのEric Brewerが二日目に行ったスピーチは、Dockerの知名度と関心を大きく高めただろう。

最近同社は、シリーズBで1500万ドルを獲得した。本誌TechCrunchの記事によると、そのラウンドを仕切ったのはGreylock Partnersだ。参加した投資家はInsight Venture Partners のほかに既存の投資家Benchmark CapitalTrinity Venturesだ。なお、Yahoo!のファウンダJerry Yangも、初期に同社に投資している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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