DroneBaseはドローンとパイロットを貸し出すマーケットプレイス

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欲しいのはドローンではない。ドローンの飛ばし方を覚えたり、ドローンの操縦だけに誰かをフルタイムで雇用したりしなくてはならない。ヘリコプターや飛行機や衛星も欲しくはない。本当に欲しいのは、建物やインフラの工事現場を上空から撮影した写真だけだ。DroneBaseのおかげで、手間をかけずとも無人の機体を利用することができる。

DroneBaseでは、 ドローンを保有するパイロットに仕事を依頼 することができる。オンラインから依頼を投稿し、DroneBaseは依頼を請け負うことのできる人を探す。請け負った人は、ドローンを飛ばし、ユーザーが必要なメディアや情報を届ける。DroneBaseのマーケットプレイスは、ロサンゼルスでビジネスを開始し、今後他の地域にも拡大する予定だ。

DroneBaseは、重要な工業現場の調査で必要だった航空写真を手に入れる方法を大きく変える可能性を秘めている。さらに、高額な航空写真を手に入れることができなかったビジネスも利用することができるようになるだろう。Y Combinatorから卒業したDroneBaseは、Union Square Venturesを筆頭に、SV Angel、Rothenberg Ventures、そしてLaunchpad LAが参加したシードラウンドの資金調達を達成した。

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軍事目的から誰もが利用できるように

「私は海軍にいました」とDroneBaseの共同ファウンダーのDan Burtonは私の取材に応えた。「イラクでパトロールに行く場合、2機のF16戦闘機が上空から私たちを援護します」。高速で飛ぶ戦闘機は、他の戦闘機を撃ち落とすのには優れているが、Burtonによると「私たちが知りたいのは、20フィート先にある壁の向こう側がどうなっているかというでした。戦闘機はその問題の解決には不向きでした」と言う。しかし、ドローンでならそのようなことが可能で、民間では他にも用途がたくさんあることに気がついた。

兵役後、Burtonはカルフォルニアに向かい、芽吹こうとしている無人機の商業利用について学んだ。建設業、鉱業、不動産業などを営む企業のための写真や動画の撮影を行うため、「トラックに5台のドローンを乗せて、走り回っていました」と言う。「企業はドローンを所有したくはありませんでした。ドローンを買った企業も、半年後には半額の値段で最新型のドローンが発売されてストレスを感じていました。さらにドローンを操縦する人を雇わなければなりません。彼らは成果物だけが欲しいのです」とBurtonは説明した。

同時に、彼はドローン愛好家のコミュニティーに話を聞いていた。彼らはパートタイムのドローン操縦のプロになれるだろうし、実際もドローン操縦者として仕事をしたがっていたが、それをビジネスとするには、営業、マーケティング、決済の部分を整えるのに困難を感じていた。

そこでBurtonは両者の問題の解決するDroneBaseを思いついた。「この会社の目的は、ドローン操縦者のプロとして活躍する場を設けることです」とBurtonは言い、「ドローンは利用者にとって扱うのが難しい最先端テクノロジーです。彼らにとってボタンひとつで利用できるようにしたいと考えました」と続けた。

Burtonは、Microsoft、AmazonやNetflixで開発を行っていたベテランのEli Tamanahaと組み、ドローンサービスのマーケットプレイスの荒いプロトタイプを制作した。開発中の製品を自ら使っていた時、BurtonとTamanahaは鉱山で予定されていた爆破をドローンで撮影することとなった。その動画が彼らのホームページに使用されている。

ドローンを雇う

DroneBase は、現在、以下の3つの領域に注力している。

  1. 不動産:潜在的な顧客向けの物件のマーケティング用画像
  2. 建設現場:建設現場での進捗のモニタリング
  3. 鉱山:掘削エリアの測量と調査

DroneBaseの料金体系はシンプルだ。15から20枚のHD Photo、3から4本の動画と指定エリアが綺麗に写る最終的な編集動画を入れて399ドルで提供する。499ドルのプランでは、50エーカー以内の敷地の測量と高解像度のOrthomosaic地図(均一の縮尺の基で複数の写真を組み合わせた大型の地図)の作成が含まれる。これには、基本的な地表の情報と体積の計算が載せられている。DroneBaseは、価格の15%程度を手数料として得る予定だ。

ドローンの操縦者は特定の地域の中で請け負える仕事をみつけたら、指示を確認して現場へと向かう。多くの場合、発注者はパイロットにガイダンスを行ったり、パイロットに会ったりする必要もない。ドローン操縦者は、必要なデータと画像を収集し、クライアントに送付する。完了したら、メモリーカードの情報を消して、次のDroneBaseの仕事に向かう。

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このような仕事のほとんどはFAAのルールに準拠している。ドローンは高さ500フィート以内を飛行し、パイロットの視野内から離れず、土地の所有者の許諾を得ている。最終的にBurtonは、企業側がパイロットの画像やデータの成果物に対する評価を付けることで、パイロットの得意分野を認定していく考えだ。Burtonは「安全が最優先事項です」と強調し、「そのためにいくつかの仕事は断りました」と話す。

DroneBaseのサイトは、まだ多少荒削りな部分もあるが、商業用ドローンのレンタル市場はまだ生まれたばかりだ。DroneBaseも時間の経過と共に、さらに簡単に使用することができるようになり、幅広いサービスを予約することができるようになるだろう。また彼らは、複数人が協力してデータを加工できるようなツールも開発したいとしている。それにより、情報をアップデートしたい顧客や複数の現場でのデータを統合したい顧客に毎回DroneBaseを使用するように促す考えだ。

情熱を仕事に

Union Square Venturesや他の投資家からの資金はDroneBaseがビジネスとして飛び立つ元手になるだろう。Burtonは、Fred Wilsonのファンドを選んだのは、彼らのチームは誠実でビジネスの助けになるからだと話した。彼らの投資理念では、ネットワーク効果の強いビジネスが勝利するというものであり、Kickstarter、Tumblr、TwitterやEtsyといった企業を成功に導いたことも理由にあげている。Wilsonは、ドローンに投資した理由について「ドローンをリプレースに活用することで、コストとスピードにおいて10倍の改善が見られるからです」と記している。

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Burtonは、DroneBaseは既にヘリコピター、飛行機や衛星を持っているビジネスに対し、同様のサービスを五分の一の価格で利用できることで取り込むことができると話した。しかし、さらに大きい市場は、これまで航空写真に手が出せなかった企業にあると話した。DroneBaseは、早くに動き出したが、彼らは、同様のマーケットプレイスが誕生する可能性については懸念を抱いていない。「最初のプレーヤーが無消費者を取り込みます」と話した。

ドローン製造大手のDJIには多くの注目が集まっている。しかし、ハードウェアはコモディティになるだろう。ドローンの容易に真似することができない部分、例えば、AirwareSkydioといったドローンを制御するソフトウェアや、 DroneBaseのように多くの人とドローンをつなげるネットワーク型のビジネスが、本当に利益を生み出すのだ。

しかし、Burtonの目が輝いたのは、好きなことに熱中している人の役に立つ事業であるという話をしている時だった。「ドローンを飛ばすのに熱中して情熱を傾けている人が大勢います。ドローンの操縦スキルを高めるのに、多くの時間とお金をかけています。彼らがプロとして活躍できる場を提供したいのです」。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook

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TechCrunch Japan

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