Eコマースにおけるカスタマーの性格カテゴリー

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編集部記Liraz MargalitはCrunch Networkのコントリビューターである。Liraz Margalitは、ClickTaleのカスタマー体験を分析する心理学者であり、ウェブサイトとユーザーのインタラクションを最適化を担っている。

私たちを取り巻く小売の環境では、カスタマーがどんな人かを知るのは難しい。昔ながらの店舗とは違い、オンラインショッピングのマーケットプレイスは、無名ユーザーの欲しい物や需要、特定のショッピングスタイルといった情報の層が分かれていて、キーボード操作とIPアドレスで振り分けなければならないものだ。

これは多くのウェブ企業に大きなマーケティングの問題をもたらす。カスタマーについて何も知らないのに、どのような対応をすべきなのだろうか?ターゲットが見えていないのに、どのようなオンラインキャンペーンを展開すべきなのだろうか?

私たちはオンラインで買い物をする時の特有の性格がある。そしてオンラインの行動は個別のサインを出している。それは私たちの現実世界における洋服、外見、所作のようなものだ。企業がこれを理解するのは、ユーザーをターゲッティングするのに重要なことだ。

では、オンライン上の性格にはどのようなカテゴリーがあるだろうか?

ウィッシュリスト愛好家

ショッピングカート放棄については知っているかと思うが、Eコマースにとって最も歓迎されないユーザーはこの1つのカテゴリーにあてはめることができる。

ウィッシュリスト愛好家は、現実世界でのウィンドーショッピングする人と似ている。彼らは、ずっと夢を見ていて、永遠とPinterestで画像をピンするショッパーで、商品を探してはいるが、購入することはほとんどない。

オンラインのショッピングカートは仮想のものであるため、ウィッシュリスト愛好家はそこに商品を入れるだけで、それらを所有した気分に浸れる。実際に料金を払わずとも、何か素敵なものを購入した時の高揚感を楽しんでいるのだ。

ウイッシュリスト愛好家にはどのような対応ができるだろうか?たくさん商品を入れたショッピングカートを何も購入せずに放棄したのなら、その中の1つか2つの商品に割引を提案することができるだろう。次回そのユーザーがサイトに購入は考えていないがブラウズするために訪れた時、そのインセンティブで決済画面に進むことを促すことができるかもしれない。

ブランド志向型

ブランド志向型のユーザーに対応するのはやや難しい。このカテゴリーのユーザーは究極の衝動買いユーザーだからだ。形状や機能ではなく、ステータスやブランドを重んじるユーザーであり、感情で買い物をする。ブランド志向型のユーザーにとって、「この商品はどのような気分にさせてくれるだろうか?」ということの方が、その商品が必要であることより重要なのだ。

ブランド志向型ユーザーは買い物履歴で判別することができる。既に購入した経験があって良かったデザイナーの商品を中心に見たり、オンラインで違う色の商品やアクセサリーを何時間も試しているようなら、そのユーザーはブランド志向型であると言えるだろう。

ターゲットが見えていないのに、どのようなオンラインキャンペーンを展開すべきなのだろうか?

ブランド志向型ユーザーにはどのような対応をすべきだろうか?ユーザーの感情に訴えることだ。商品情報は最低限にし、様々な統計情報や数値で買い物客を圧倒しない方が良いだろう。このタイプのユーザーはそのような情報に興味がない。美しい画像や夢中にさせる文言を提示することに注力すべきだろう。ブランド志向型ユーザーは直感で買い物をするため、サイトはユーザーに合わせるようにしよう。

合理主義ユーザー

ブランド志向型ユーザーの対局に位置するのは合理主義ユーザーだ。このような買い物客はたいてい予算に合っているかの一点に着目している。このユーザーは商品価格と商品を使うことで得られる満足度の比率を注意深く検証し、実用的で適切な購入判断をしようとする。

合理主義ユーザーが多いのならブランド志向型ユーザーとは正反対の施策を取る必要があるだろう。商品の価値、満足できる点を箇条書きで明示し、それらが最初から前に出て分かりやすくすると良いだろう。詳細情報も合理主義ユーザーにとっては重要な要素だ。彼らのニーズを尊重し、情報はなるべく提示すると良いだろう。提示する情報が多いほど、合理主義ユーザーは知識を得て満足することができる。最終的に購入に至り、競合サイトへの流出を防ぐことができるだろう。

徹底調査型

全ての商品レビューを閲覧したり、統計情報を眺めたり、ページを上から下までじっくり見る行動を取るカスタマーは、別のカテゴリーに分類している。彼らは「徹底調査型」のショッパーで、このようなユーザーは、出来る限り最良な購入判断をしたいと考えている。決断をする前にはユーザー自身も疲れてしまうほど調べる傾向にある。

このようなカスタマーの課題は不安感にある。Eコマースのサイトであまりに多くの選択肢が提示される場合、徹底調査型のショッパーはパニックを起こし、結局全てのブラウザーを閉じることになってしまう。選択肢と情報を全て提示することは彼らにとってエンターテイメントでも安心感につながるものでもなく、怖がらせるものになる。

サイトの説明文は賢く計画すべきだろう。徹底調査型のユーザーには、提示する選択肢を限定すると良いかもしれない。フィルターを使って分かりやすく分類したり、一度に表示する商品を5つに限定したり、購入を促進させる工夫や各ユーザーの買い物履歴に合わせた商品を提案することでちょっとした買い物の「はずみ」を付ける工夫をすると良いだろう。

目的志向型

Clicktaleでウェブサイトのトラフィックを分析する時、ページの上からスクロールしていき、ページの中程でも条件に合う商品があれば、すぐに購入を決断するユーザーを見かける。検索条件に合っている商品が他にもまだあるにも関わらず、ユーザーは即決する。このようなショッパーは目的志向型と呼んでいる。彼らは、特定のニーズが頭にあってEコマースのサイトを訪れているため、ニーズを満たす商品を見つけた瞬間、購入を決断するのだ。

買い物客の傾向が分かれば、彼らを向かってほしい所に上手く誘導するサイト設計を検討することができるようになるだろう。

目的志向型のユーザーは商品を探すために無駄な時間を使いたくないと考え、商品が見つかれば満足する。このようなショッパーのためには、商品の選択肢をフィルターで絞り込み、常に目的の商品に焦点が当たるようにすべきだろう。

他に目的志向型を助けるツールは、サイズ、色、ブランドでの検索を実装することで、すぐに探しているものを見つけ出し、検索にかかる時間を短縮できるようなものだ。また、他の関係のないデータはページに表示しない工夫もできる。

躊躇い型

購入する気でいて、商品を探すのを楽しみ、ショッピングカートに商品を入れるが「購入」ボタンをクリックする時に立ち止まるユーザーもいる。

このようなユーザーにもカテゴリーを付けた。私たちはこのようなユーザーを「躊躇い型」と呼んでいる。カスタマーは買い物を楽しみ、購入する意志もあるが、誤った判断をするのを恐れて進むことができず、バイヤーズリモース(購入したことへの後悔)に陥る。このようなユーザーはオンラインの行動から分かる。最後の購入画面に進むためのコール・トゥ・アクションのボタンの上で迷い始め、商品の入ったカートをそのままに、他のタブをさまよって、どうしようかと考える傾向にある。

このような「躊躇い型」に購入判断を後押しするためには、報酬が紐づく行動を促すサイト設計を検討すると良いだろう。買い物体験の各ステップにフィードバックやポジティブな促進を与えるようなウェブサイトのデザインを検討することだ。例えば、中立的な「サイトにようこそ」というような文章ではなく、ユーザーの判断を肯定するような表現「このサイトを選んで正解です」などを検討すると良いだろう。

また、途中で離脱するタイミングを減らすサイト設計が重要だ。チェックアウトまでのページを最小限にし、「購入」ボタンをクリックした後に前に戻ることが難しくなるような工夫が必要だ。

まとめ

実店舗の時代では販売員は買い物客の特性をボディーランゲージや外見で分かるシグナルを読み取って判別していた。現代のオンライン・ショッピングではこのあり方は大きく変わったが、ビジネスは無名のオンライン・ショッパーでも商品を探し方やクリックの傾向で多くのサインを出していることを知る必要がある。

買い物客の傾向が分かれば、彼らを向かってほしい所に上手く誘導するサイト設計を検討することができるようになるだろう。つまり、チェックアウトページを通過し、コンバージョンへと導く道筋を見つけることができるということだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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