EC販促支援ツールを手掛けるSocketがB Dashから資金調達、元ミクシィ朝倉氏をアドバイザーに

Socket代表取締役の安藤祐輔氏(左)と朝倉祐介氏(右)

年初にEC業界の2014年総括・2015年予測の寄稿をしてもらったが、その中で2015年のキーワードとして出てきたのが「ウェブ接客」だった。その動きがいよいよ活発になってきたようだ。スマートフォン向けEC販促プラットフォームの「Flipdesk」を提供するSocketは1月20日、B Dash Venturesが運営するB Dash Fund 2号投資事業有限責任組合を割当先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。金額は非公開だが数千万円になるという。

また今回の資金調達に合わせて、元ミクシィ代表取締役社長の朝倉祐介氏をゼネラルアドバイザーに起用する。朝倉氏は現在米国を拠点に活動中だが、すでにメッセージやメールなどで密にコミュニケーションをとっているそうだ。詳細は明らかにされなかったが、朝倉氏も同社に出資をしているという。

Flipdeskはスマートフォン向けサイト上で、実店舗での接客のような体験を提供する販促プラットフォーム。予めサイトにタグを埋め込み、ユーザーの行動を自動で解析。訪問者状況に応じてクーポンを発行したり、キャンペーン告知などをしたりできる。例えばある商品ページに複数回訪問するのに商品購入に至らないユーザーに対してはクーポンを発行して購入を促す、特定の商品を購入したユーザーに対してはキャンペーンの告知をするといったように、ユーザーの行動に合わせて購買意欲を高める提案をして、購買率を上昇させるという。

Flipdeskでクーポンを出すイメージ

サービスは2014年9月に開始。すでに100社以上が導入を決定しており、うち40社程度が実際に導入済み。東急ハンズやWEGO、丸善&ジュンク堂ネットストアなどの大手ECサイトから、外資系のECサイトや人材情報サイトまで幅広い。

価格はトラフィックに応じた従量課金制で、平均で月額5万円程度となっている。またオプションでコンサルティングサービスも提供する。すでにROI(利用料金に対して得られた粗利益)で1000%を超えるサイトもでてきているそうだ。

Socketは2010年12月の設立。代表取締役の安藤祐輔氏は、高校を卒業してから消防士になり、その後筑波大学に入学。そして学生起業するというちょっと珍しいキャリアの持ち主だ(今回アドバイザーに就任した朝倉氏も、競馬騎手を目指したのち、東大に入学し学生起業するというこれまた異色のキャリアだったが)。

大学在学中に体育会系の部活をする学生向けの就職支援サイトを立ち上げて売却。その後ケンコーコムの外部コンサルとして海外拠点の立ち上げを支援するなどしてからSocketを創業した。Socket創業後も、メディア事業やライターネットワーク事業を立ち上げて売却するなどしてきたが、「これまで資金調達をするようなことはなかったが、業界に8年いてきっちり勝負をかけたい。やるならECと思っていたが、人の商材を売るとなると自社でコントロールできないところが大きい。であればASPをやろう」と考えたそうで、現在はFlipdeskの事業に注力している。

実は安藤氏と朝倉氏は共通の知人がおり、以前から面識自体はあったのだという。そしてレレレが手掛ける「TimeTicket」で朝倉氏が「相談に乗る」というチケットを販売した際に安藤氏がそのチケットを購入。資金調達などのアドバイスを求めたそうだ。そこから徐々に相談の機会が増えていたため今回正式にアドバイザーとなったという。ちなみに朝倉氏は、SSocket以外にも個人でエンジェル投資やスタートアップの相談などに乗っているとも語ってくれた。ただしあくまで「友人ベースで」とのことだ。

同社は今回の調達で人材を強化し、サービスのさらなる開発を進める。


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TechCrunch Japan

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