Echo ShowのDrop-In機能はセキュリティリスクだとの指摘にAmazonは反論

DropInは奇妙で、ほとんど浅はかと言って良い機能だ。これは、Echoデバイス間で簡易なコミュニケーションを提供する手段だ。要するに受話器を取り上げる必要のない通話機能である。なので”dropping in”(ふらりと立ち寄る)なのだ。

Amazonはこれを新しいShowと一緒に発表し、旧来のEchoデバイスたちにも、今週導入した新しいインターホン機能の一部として展開する。私たちは、最初5月にこの機能が無料のEchoコールバックと共に発表された際に、いくつかの疑問を投げかけていた。しかし今週登場したShowのおかげで、プライバシーとセキュリティーの懸念が新たに生まれている。

この機能は、Echoの常時接続マイクロフォンを巡って提示された懸念を考慮するなら、Amazonから提供されるには少々奇異な代物なのだ。しかし今回同社はこうした懸念に対して、Drop-Inはオプトイン機能であるという説明だけで事を収めようとしている。機能を使うためには通話を行う両者が、デバイスの設定でそれぞれDrop-Inを有効にする必要がある。

Amazonは、TechCrunchに提供した声明でこの点を強調し、更に「顧客は自分たちがDrop-Inコールに参加していることを知ることができます。何故なら、まず最初に『チャイム』が鳴りますし、通話が行われている最中はずっとEchoデバイス上で緑色のライトの輪が回転し続けるからです。Echo Showデバイスでは、承認済の連絡先もしくは部屋にDrop-Inしようとすると呼び側は最初の10秒間は『曇りガラス』状態になります。このため呼ばれた側はその状態の間にDrop Inを拒否して、スクリーン上に映ることを防ぐことが可能です」。

インターホン機能を超えて、この機能は主に高齢の近親者の様子をチェックしたい人びとや、赤ん坊を見守るためにシステムを増やしたい層に向けてのものなのだ。ビジュアルとオーディオによる通知は確かに役立つだろう、このおかげで相手に完全に気が付かれないように機能を使うことはできない。しかし、最初の10秒間だけスクリーンを覆い隠す「曇りガラス」があったとしても、たとえばDrop-Inが開始されたときに相手が部屋にいなかったとか、あるいは最初のチャイムを聞き逃すということは容易に想像できるシナリオだ。

家庭内でのインターホン機能は、有用で要望の多い機能だが、ビルトインカメラを持つEchoの導入は、デバイスに関わるプライバシーとセキュリティーの懸念を必然的に高めることになる。そのため、この機能とカメラ機能を同時に立ち上げることはとても理想的とは言えなかったのだ。

また、ハッカーによる悪意のあるアクセスの問題も潜在的には存在している。ほとんどの大企業と同様に、Amazonは、Drop-Inのようなものがサーバー側でどのように動作しているかについての情報を提供したがらない。企業はしばしば、ハッカー予備軍に多くの情報を与えることを恐れて、秘密のソースの回りに謎を散りばめているものだ。これが初期のころ、Echoがサーバーに対して何を記録して何をアップロードしているのかという質問に、公式な回答が返されるまでにとても長い時間がかかった理由なのだ。

バランスをとる必要がある。特定のセキュリティ上の懸念について沈黙を続けることは、外部からはあまりよくは見えない。機能がバックエンドでどのように実装されているかによって、プロダクトを潜在的に別の脆弱性に晒してしまう可能性があるからだ。しかし同社は私に対して、Drop-Inはセキュリティの観点からは、通常の通話のように扱えると再度念を押した。

「Amazonはセキュリティをとても重視していますし、Alexaを使った通話とメッセージングにも違いはありません」と、同社はTechCrunchに語った。「新しいDrop-In機能は、Echoデバイスで利用できる他のAlexa機能で使用されているものと同じセキュリティ対策を活用しています。私たちは特定のセキュリティ対策について開示する情報を制限していますが、他の通話サービスやメッセージングサービスと同様に、Alexaによる通話とメッセージングは、お客さまの保護のために暗号化された形で通信が行われています。さらに、Alexaのお客様の安全とセキュリティを確保するために当社の製品と機能のセキュリティレビューを定期的に実施する、本格的な専任チームを揃えています」。

また彼らはデバイスに備わっているミュートボタンの存在も即座に指摘した。Showの場合それは、ユニットの上にある3つの大きなボタンの1つである。このボタンを押すことで、マイクロフォンとカメラの両方がオフになり、ステータスバーが赤くなる。先週、私はこの機能をテストしていたのだが、服を着替えるたびに、あるいはAmazonのサーバーに関わらせたくないようなこと全てに対して、一々ボタンを押すように自らを慣れさせる必要があった。

私からは、ミュートボタンを気前良く使うことをお勧めする。実際、私はしばしば Showの電源を落としていた。もちろんこれは、お任せアシスタントというアイデアに対して、逆らうものであることは間違いない。またほとんどの場合、Drop-In機能の使用も控えることをお勧めしたい。家に新しい技術を持ち込むたびに、コストと利便性の比率を測ることが重要だ。少なくとも私自身の人生では、電話に出ないというオプションがなくなることは、全く想像することができない。

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(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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