EdTech大手Course Heroが古典文学の要約サービス「LitCharts」を買収

実は、英語の授業で私を含むクラスの半分が、実際に原文を読まずにSparkNotesを使ってシェイクスピアの「Twelfth Night(十二夜)」を読んでいた、と先生に告げ口したのはこの私だ。そのサイトは本の各章の要約を教えてくれるので、テストの前に長編小説などを復習するのにとても便利だった。あるいは、多くの本が積ん読状態で、その本を開いたことさえないようなときの土壇場の救世主でもある。

そんな歴史を考えると、誰もが愛する読書先延ばしツールSparkNotesの開発者たちが、EdTechのユニコーンの目に留まったのも当然だ。米国時間6月10日、SparkNotesの子孫であるLitChartsが、新進のEdTechユニコーンCourse Heroに買収された。その価額は公表されていない。しかしCourse Heroは2020年8月のシリーズBで8000万ドル(約87億7000万円)を調達しているため、その一部が今回の買収に投じられたことは確かだろう。

SparkNotesを開発したBen Florman(ベン・フローマン)氏とJustin Kestler(ジャスティン・ケストラー)氏が作ったLitChartsは、彼らの成功作の延長線上にある。LitChartsは2000あまりの文学作品の原文の注記や定義、そして翻訳を提供する。SparkNotesと同じくLitChartsも、複雑な章句を簡略化する。Course Heroを創業したAndrew Grauer(アンドリュー・グラウアー)氏の推定によると、LitChartsの会員の約30%は教師や教育者だ。

グラウアー氏はCourse Heroの長期展望について次ぎのように語る。「私たちは特定分野のベストソリューションを正しいTPOで提供したいと考えています。学習者であるユーザーの役に立つ良質なツールの、信頼できる推奨者でもありたいのです」。生徒をあるリソースから別のリソースに結びつける、こういったネットワーキングは、バーチャル教育の利点の1つだ。なぜなら、1つのエラーにも、これまでの生徒たちが犯してきたさまざまなつまづきの履歴があるのだから。

グラウアー氏によると、Course Heroの中核は、生徒1人ひとりの特異性をぎりぎりまで重視する質疑応答のプラットフォームだ。有料会員である生徒は、学習と教授のためのすべてのコンテンツにアクセスでき、その中には教師と発行者が作ったコースの教材もある。当然ながらCourse Heroの戦略の大きな部分は、生徒が苦戦している共通の主題に関する教材を提供することだ。英語も、そんな教材の1つだ。

「私たちのプラットフォーム上のデータをよく見れば、生徒が最も行き詰まっている箇所や助けを必要としている箇所、多くの質問が集中する箇所などがわかります。そんな情報が役に立つのです」とグラウアー氏はいう。

同社はこれまでの5〜6年間、自力で文学ライブラリを構築してきた。LitChartsを手中に収めたことにより同社は、その文学ライブラリと、そこにある膨大な量のビデオやイラストレーション、注記、そしてテキストに大きな投資をしたことになる。

これはCourse Heroにとって、8カ月ぶりの買収だ。同社は2020年10月に、人工知能を利用する計算アプリSymbolabを買収している。これは生徒が複雑な数学の問題を解いたり理解するのに役に立つ。その買収でCourse Heroの数学の部分が強化され、そして今日の買収では文学のリソースが充実した。どちらのブランドも独立した運用を続けるが、それはグラウアー氏の「起業家たちを分散状態で強くしていく」という哲学の表れだ。

関連記事:EdTechのCourse Heroが数学専門の解答エンジンSymbolabを買収、他科目の買収も目指す

「すべてを一元化すれば、同じように見えるので力を発揮するかもしれませんが、実際には、あまりにも多くの小さな特定のユースケースに最適化しているため、動きが遅くなり、迅速な意思決定や目標への前進ができなくなります」とグラウアー氏はいう。Course Heroが最近買収した2つのスタートアップは、10年以上の歴史があり、その規模とブランド力は、無理に包括的なブランドにするのではなく、そのままにしておく価値があると同氏は考えている。

さまざまなプラットフォームを抱えるCourse Heroは、現在の有料会員数が推定200万〜300万人で、1年前の100万から大きく増加している。

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カテゴリー:EdTech
タグ:Course Hero買収

画像クレジット:PM Images/Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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