Epic Gamesが3Dモデル共有プラットフォームのSketchfabを買収

ニューヨークを拠点とするスタートアップ企業のSketchfab(スケッチファブ)が「Fortnite(フォートナイト)」や「Unreal Engine(アンリアル・エンジン)」の開発元として知られるEpic Games(エピック・ゲームズ)に買収された

Sketchfabは3Dアセットをアップロード、ダウンロード、閲覧、共有、販売、購入するためのプラットフォームを構築してきた。これは本質的に、ウェブ上における3Dファイルの主要な貯蔵庫となっている。

Epic Gamesは今回の買収の条件を明らかにしていない。Sketchfabは今後も別のブランドとして運営・提供されていく。Epic Gamesによると、Unity(ユニティ)を含むサードパーティ製ツールとの統合はすべて継続して利用できるとのことだ。

Epic Gamesがこれまで、最も人気が高い制作ツールをいくつか開発あるいは買収してきたことを考えれば、今回の取引は理に適っている。Unreal Engineは、過去20年ほどの間で最も人気のあるビデオゲームエンジンの1つだ。

最近では、このUnreal Engineはビデオゲーム以外にも、特殊効果、仮想世界の3D探検、複合現実プロジェクトなど、さまざまな用途に使用されている。

しかし、アセットのないエンジンは使い物にならない。そのため、クリエイターは自分で2Dや3Dのアセットをデザインするか、そのプロセスを外注するか、あるいはアセットを直接購入する。これによってアセットとクリエイターによる1つのエコシステムが形成される。

Epic Gamesは独自のUnreal Engineマーケットプレイスを持っているが、Sketchfabは、テクノロジー、リーチ、コラボレーションを3つの重要な柱として、決定的な3Dマーケットプレイスの構築に長年取り組んできた。

テクノロジー面については、Sketchfabでは3Dモデルをあらゆるプラットフォームで見ることができる。Sketchfabのビューアーは、デスクトップとモバイルの両方の主要なブラウザで動作し(Sketchfabのサイトでその一例を見ることができる)、VRヘッドセットにも対応している。3Dモデルは、Blender(ブレンダー)、3ds Max(スリーディーエスマックス)、Maya(マヤ)、Cinema 4D(シネマフォーディー)、Substance Painter(サブスタンス・ペインター)など、自分の好みの3Dモデリングアプリからアップロードできる。

Sketchfabでは、あらゆるフォーマットをglTFやUSDZのファイルフォーマットに変換できる。これらのフォーマットは、AndroidやiOSで特に効果を発揮する。

次にリーチに関しては、Sketchfabは長年にわたって驚異的な成長を遂げてきた。2018年に同社は10億ビュー、200万メンバー、300万3Dモデルという指標を掲げ、クリエイターがプラットフォーム上で直接アセットを売買できるようにストアを起ち上げた。

最後にコラボレーションについて。Sketchfabは、常に3Dモデルを扱う企業にとって興味深い機能となるSketchfab for Teams(スケッチファブ・フォア・チーム)を、2020年に導入した。これは、Sketchfabのアカウントをチームの他のメンバーと共有できるSoftware-as-a-Service(サービスとしてのソフトウェア)で、基本的にはGoogle Drive(グーグル・ドライブ)の共有フォルダのように機能し、3Dモデルを共有することができる。

今回の買収に伴い、Epic Gamesはすぐにいくつかの変更を行った。まず、Sketchfabのストアで課せられる手数料が、これまでの30%からEpic Games Storeと同じ12%に引き下げられた。同社はArtStation(アートステーション)を買収した直後にも、同じようにArtStationの手数料を引き下げている。

月額利用料を支払っているSketchfabユーザーにとっては、すべてが少し安くなった。従来のPlus(プラス)プランのすべての機能は無料で利用できるようになり、Pro(プロ)プランのすべての機能はPlusプラン加入者に提供されるようになるなどだ。

「私たちは創造性の新時代に力を与え、クリエイターがオンラインで作品を披露したり、3Dコンテンツにアクセスできるサービスを提供することを使命として、Sketchfabを設立しました」と、Sketchfabの共同設立者でCEOを務めるAlban Denoyel(アルバン・デノワイエ)氏は発表の中で述べている。「Epicと一緒になることで、私たちはSketchfabとその強力なオンラインツールセットの開発を加速させることができ、ひいてはクリエイターにより優れた体験を提供できるようになります。Epicと協力してメタバースの構築に取り組み、クリエイターが自分の作品をさらに発展させることができるような環境を作れることを誇りに思います」。

ArtStationとCapturing Reality(キャプチャリング・リアリティ)の買収に続き、Epic Gamesは買収を活発化させている。同社がゲーム業界向けにエンド・ツー・エンドの開発者スイートを構築したいと考えていることは明らかだ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Epic Games買収3D

画像クレジット:Sketchfab

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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