Evernoteが自社関連商品を販売するEコマースサイトMarketを水曜日に閉鎖

evernote

Evernoteから新たなニュースが届いた。このスタートアップと同名のメモアプリは苦戦を強いられているようだ。本日Evernoteは、水曜日の太平洋標準時午後6時にMarketを閉鎖すると発表した。MarketはEvernote商品やEvernote提携のオフィス用品を販売するEコマースのプラットフォームで、Evernoteを良く利用するユーザーを中心に、別の収入源となるよう制作したものだ。

それとは別にシニア職員の退社の話も入った。Evernoteで長年コミュニケーションのヘッドを務めているRonda Scottが、今週末で同社を退社するという。

Evernoteがまだ困難な時期にいる。Evernoteはこれまでにも長年CEOを務めたPhil Libinを含む複数シニア職員の退社があり、業績の芳しくないプロダクトの閉鎖を行ってきた。過去には10億ドルの評価が付いたこのスタートアップの評価額は、 複数の大手ファンドマネージャーに格下げされている。

今日Evernoteが投稿したブログ記事で、パートナーシップのヘッドを務める John Hoyeは、EvernoteがEコマースではなく、ソフトウェア・ビジネスに軸を戻すための再構築を行うとしている。

「Evernoteはソフトウェアの会社です。Evernoteの体験を完璧に構築することが私たちが今後注力すべきことと考えています。販売や注文管理を自分たちで行うのではなく、2月3日からMarketは、Adonit、Moleskine、PFUと制作、販売しているEvernote提携プロダクトをプロモートする場に変更します」と彼は伝える。「Evernoteを強く、優雅にするようなパートナー企業の追加と提携は続ける予定です」。

既存の商品はそのまま表示されるが、ユーザーはリンクをクリックすると別サイトで注文し購入するようになるとスポークスパーソンは示した。

Evernoteのアプリはこれまでフリーミアムモデルでサービスを展開してきた。アプリの基本バージョンを無料で提供し、ユーザーにとって便利であることを体験してもらう。その後ユーザーが容量も機能も多いプレミアム版の有料登録をすることを期待している。

前CEOのLibinは、よく同社のサービスは長く使えるサービスであることを強調していた。彼の視点(これまでの同社の視点)では、Evernoteは人生を通して使え、そしてその先も保存場所として機能するサービスという考えだった。Evernoteは全世界で1億5000万のユーザーを抱えているとしたが、有料サービスを利用している人数は明かしていない。

Evernoteがユーザーにとってそのような長期間利用できるサービスであるという点についてはまた考え直さなければならない問題だ。だがそれとは別に、アプリだけを見た時、Marketのコンセプトは少し妙なものだった。

Evernoteはクラウド上に書類を保存するためのスタートアップで、紙の書類を失くすためのサービスだ。にも関わらず、2013年に登場したMarketでノートや他のプロダクトを販売するというのは、少しずれているように思えた。

Libinは当時、Moleskineのノートといったプロダクトを販売することを正当化し、Evernoteの体験を良い意味で拡張するものと位置づけた。(それでもEvernote柄の靴下は関係ない話だ。)

「紙をなくすのが目標ではありません。素晴らしい体験を目指すだけということでもありません」とLibinは言っていた。「私たちは下らない書類を失くしたいと考えていますが、紙の利便性を拡張したいのです」。その翌年、同社のストアから1200万ドル相当を売り上げたと発表した。今日も最新の数字を発表している。EvernoteのMoleskineノートを80万冊、Jot Scriptのスタイラスを30万個、ScanSnapのEvernote版スキャナーを2万台売り上げた。

しかし、結局それらの数字はオペレーションコストに見合うものではなかったようだ。Evernoteは中核事業とは関係ないものを切り離すことにした。Evernoteをそもそも有名にしたコア事業に注力するためだ。そして、プレミアムユーザーを増やしたい考えだ。スポークスパーソンによるとその数字は1年前より40%増加しているという。このスタートアップにとってMarketを切り離すのは難しい決断ではなかったようだ。

Featured Image: WhatleyDude/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。